破壊の聖女は全裸(物理)になっても君を離さないと言う名の糞ラノベ4号
「……死になさい。コウタ、貴方の愛してくれない細胞なんて、この宇宙に残しておく価値も、意味も、一ミクロンの整合性もないのよ」
私立・神羅万象学園。超能力の偏差値がすべてを支配するこの学園で、トップに君臨する『破壊の聖女』ユウコは、いつものように最愛(標的)のコウタに向けて、右手をしなやかに突き出していた。
彼女の能力は『極大崩壊(アポカリプス)』。触れたものはおろか、視界に入ったすべての物質の分子結合を強制解除し、文字通り「塵」にする、学園最強の権能だ。
彼女の背後では、ついさっき彼女の機嫌を損ねた豪華な校舎の三分の一が、音もなく粉雪のように消滅していた。
「おい、ユウコ。校舎の修繕費、また俺のバイト代から引かれるんだぞ。やめろって」
対するコウタは、どこにでもいる「無能力者(レベルゼロ)」だ。
彼は、迫りくる絶望的な破壊の波動に対し、鬱陶しそうに手で空気を払った。
「――反射(リフレクト)」
その瞬間、世界が反転した。
コウタの右手に触れた『破壊』の概念が、物理法則を無視して180度転換し、発動者であるユウコへと逆流したのだ。
ドォォォォォン!! という景気のいい音と共に、ユウコの周囲で爆発的な光が弾ける。
「……あ」
爆煙が晴れた後。
そこに立っていたのは、神々しいまでの破壊の権化――ではなく、純白のレースに包まれた、ただの『下着姿の美少女』だった。
学園指定の防刃・耐魔加工が施された制服が、コウタに跳ね返された彼女自身の能力によって、ピンポイントで分子分解された結果である。
「……ふ。ふふふ……あはははは! 流石はコウタ! 私の最大出力を、あんなに『優しく』脱がせて跳ね返すなんて……! 貴方、やっぱり私に抱かれたがっているのね!?」
「脱がしてねえよ! 弾いただけだろ! あと隠せ! 門番がこっち見てるぞ!」
ユウコは隠すどころか、むしろ誇らしげに胸を張り、一糸乱れぬ(制服以外は)足取りでコウタに詰め寄った。
その瞳は、恋の炎と破壊の衝動が混ざり合った、どろどろのヤンデレ・パープルに輝いている。
「いいわ、コウタ。今日の勝負は私の負けよ。代償として、今夜は貴方の部屋の鍵を壊して(物理)、朝まで私の『再構築』に付き合ってもらうから……覚悟しなさい?」
「頼むから普通に登校してくれ……」
学園最強のヤンデレ聖女と、なぜか彼女の能力だけをギャグ的に弾き返してしまう無能力者の、ストレスフリー(コウタの胃痛を除く)な一日が幕を開ける。
放課後の校舎裏。ここは「学園の秩序を守る」という名目のもと、気に入らない生徒を合法的にボコるエリート集団『規律執行部』のたまり場となっていた。
そこに呼び出されたのは、学園の最高戦力でありながら、無能力者のコウタにベタ惚れしている「学園の恥」ことユウコ。そして、とばっちりのコウタだ。
「ユウコ様、貴女の目を覚まさせてあげましょう。そんな寄生虫のような無能力者、僕の『絶対真空』でひれ伏させてやる!」
執行部のリーダーが格好つけて指を鳴らす。
瞬間、コウタとユウコの周囲の空気が、超高密度の真空へと変質し、肺から空気を引きずり出そうと牙を剥く。
「ちょっと、コウタとの甘い放課後の鑑賞タイムを邪魔しないでくれる? ――死ね」
ユウコがキレた。
彼女が右手を振り上げた瞬間、真空の壁がガラス細工のように粉砕され、破壊の余波が執行部員たちへ向かおうとする。……が。
「おい、ユウコ! 後ろの自販機まで壊すなよ! 俺の喉が渇いてるんだ!」
コウタが反射的に、ユウコの振り回した腕を「ぺしっ」と叩いて軌道を逸らした。
「――ああぁっ!?」
反射(リフレクト)発動。
コウタの手を介してベクトルをねじ曲げられた破壊エネルギーは、執行部員たちの頭上を掠め、なぜかピンポイントで「ユウコが今朝急いで着替えてきた代わりの制服」を、再び分子レベルで消滅させた。
「……あ。また、やっちゃった」
「お前が反射させたんでしょうがぁぁ!!」
夕焼け空の下。
執行部の面々の目の前で、再び純白のレースと肌を晒したユウコが、頬を染めて、うっとりと自分自身の身体を見つめる。
「コウタ……貴方、そんなに私の『脱ぎたて』が欲しかったのね……。わざわざ相手の攻撃を逆用してまで、私を裸にするなんて。……テクニシャンすぎるわ。もう、今すぐここで子作りしなきゃ失礼じゃない!」
「違う! 反射角の計算ミスだ! 執行部、お前らも何赤くなって見てんだ、回れ右!」
「死ぬ……! こんな美しい地獄、耐えられない……!」
鼻血を出して倒れ伏す執行部員たちを尻目に、ユウコは全裸(下着のみ)のままコウタに飛びついた。
ヤンデレ最強能力者が全裸で突進してくるという、物理的にも視覚的にも最強の攻撃を、コウタは今日も必死に弾き返すのであった。
夏、全校生徒が待ち望んでいた(そしてコウタが胃痛に震えていた)水泳の授業がやってきた。
学園の巨大な屋外プール。そこには、特注の「破壊耐性水着」を身に纏い、獲物を待つ捕食者のような目でコウタを見つめるユウコの姿があった。
「ねえ、コウタ。水中なら、私の『崩壊』は水の振動を伝わって、より効率的に、より密接に、貴方の粘膜まで届くわ。楽しみね……うふふ」
「頼むから純粋に泳いでくれ。あと粘膜とか言うな、通報するぞ」
コウタがプールサイドに座ったその時、事件は起きた。
学園のアイドルであるユウコが下着同然の水着姿で男に媚びているのが気に入らない、親衛隊という名の暴徒たちが、プールの底に仕掛けた「超重力トラップ」を起動したのだ。
「無能力者のコウタ! プールの底で溺れ死ね!」
「きゃっ!? ……もう、私の愛のスイミングを邪魔するなんて……蒸発(消)えなさい!」
怒り狂ったユウコが、プールの水面に右手を叩きつけた。
本来なら、プールの水ごと親衛隊を分子分解して消し去るはずの『極大崩壊(アポカリプス)』。
だが、その瞬間、足元を掬われたコウタがバランスを崩し、咄嗟にユウコの肩を掴んでしまった。
「うわっ、反射(リフレクト)!!」
「――えっ」
シュン、という短い音と共に。
プールの水……数万リットルが、一瞬にして完全消滅した。
それだけではない。コウタの「反射」は、今回も恐ろしいまでの正確さで「ユウコが身につけている繊維」のみをターゲットにロックオンしていた。
「……あ。……涼しいわ」
水が消え、干上がったプールの底。
そこには、水着の破片すら残さず、月光のような白肌を完全に晒した全裸(物理)のユウコが、しゃがみ込んだコウタの上に覆いかぶさるような形で静止していた。
「コウタ……。貴方、ついに公共の面前で、私を……何もない姿にしたのね。これ、実質的な結婚式じゃない。全校生徒が証人よ!」
「違う! 事故だ! 水を消すつもりが、またお前の服だけ弾いちゃったんだよ! 親衛隊、見るな! 全員目を潰せ!」
「無能力者、お前だけは絶対に許さない(羨ましすぎる)!!」
全裸の聖女がプールの底でコウタにのしかかり、周囲からは殺意に満ちた絶叫が響き渡る。
もはやノンストレスなのはユウコのメンタルだけで、コウタの社会的ステータスは完全崩壊の危機に瀕していた。
三度目の正直ならぬ「三度目の全裸」でした。水すら消えるという徹底したギャグ描写にしました。
林間学校の夜。深い山奥のキャンプサイトで、コウタは絶望していた。
女子テントと男子テントの間に、ユウコが「邪魔な物質(テントと地面)」を更地にして巨大なプライベート・スイートを勝手に建造したからだ。
「ねえ、コウタ。今夜の山は冷えるわね。……でも大丈夫、私の『破壊』で空気の分子を振動させて、常時28度の愛の温室を作っておいたわ。さあ、この『絶縁体(パジャマ)』を脱いで、私という熱源に飛び込んできなさい」
「絶対に嫌だ。俺はあっちの男子用シュラフで、野郎どもの加齢臭に包まれて寝る」
「拒否は、死と同義よ……!」
ユウコが瞳を紫に光らせ、右手をコウタに向けた。
これまでなら、ここでコウタが「反射」してユウコの服が弾け飛ぶのがお決まりのパターン。だが、連日の全裸(物理)事件に業を煮やしたコウタは、密かに能力を研ぎ澄ませていた。
「――進化(アップデート)。反射じゃなく……破壊無効(ヌル)!」
コウタが手をかざすと、ユウコの放った崩壊の波動が、彼に触れた瞬間に霧のように消散した。
跳ね返らない。つまり、ユウコのパジャマは無傷。彼女の服は、何一つ脱げなかったのだ。
「……え?」
ユウコが呆然と自分の身体を見つめる。
パジャマは、そこにある。コウタの「鉄壁のガード」が、ついに彼女の意図しない脱衣を完璧に防いだのだ。
「はっ……ははは! 見たかユウコ! 俺の勝ちだ! 今日は一ミリも脱がせないし、脱げないぞ!」
「………………」
ユウコはしばし沈黙し、それから、今まで見たこともないような深い、暗い、そして熱い笑みを浮かべた。
「そう……。貴方が守るなら、私が壊すまでよ。コウタ、貴方が私の服を脱がさないなら……『自分の意志』で脱げばいいだけじゃない」
「え、ちょっ、お前何を――」
ブチブチブチィッ!! と、凄まじい音が響いた。
ユウコは自らの『破壊』の能力を、あろうことか「自分自身の服」だけにピンポイントで全出力投入した。
コウタが無効化した領域を避け、彼女自身の意思で、彼女自身のパジャマを、コンマ一秒で粉砕・消去したのだ。
「……ふぅ。……スッキリしたわ。さあ、コウタ。貴方の能力がどれだけ完璧でも、私の『脱ぎたい欲求』までは無効化できないわよ?」
「自分で脱ぐなよ!! むしろ潔すぎて怖いんだよ! 下着だけになってこっちに来るな!」
「あら、これは下着じゃないわ。貴方の理性に突きつける、最終通告(ラスト・アポカリプス)よ」
月明かりの下、自らパジャマを破壊して純白の下着姿になったヤンデレ聖女が、コウタに向かって猛タックルを仕掛ける。
「反射(リフレクト)」も「無効(ヌル)」も意味をなさない、彼女の自己犠牲的な脱衣特攻を前に、コウタの貞操観念はかつてない危機を迎えるのだった。
【聖女、全裸(物理)で絶望の淵から這い上がる
学園の地下深く、異能を封じる特殊合金の檻。
コウタは、学園を裏から支配しようとする「全能評議会」の手によって、拘束されていた。
「無能力者の分際で、最強の権能を弄んだ報いだ。コウタ、貴様をエサにユウコを誘い出し、彼女の能力を抽出する。……無能力者には、彼女を守ることなど、最初から不可能なのだよ」
評議会議長が冷酷に言い放った、その時だった。
地下施設全体が、震度7を超える激しい揺れに見舞われる。
「――返せ」
地上の厚さ十メートルのコンクリートを、紙切れのように「消滅」させて、彼女が降りてきた。
ユウコだ。
だが、その姿は異様だった。瞳はどす黒い紫に染まり、全身から溢れ出す崩壊の余波が、周囲の空気をプラズマ化させている。
「私のコウタに触れた、その汚らわしい指……。原子レベルで後悔させてあげるわ」
「ひ、怯むな! 撃て! 奴を肉塊に変えろ!」
評議会の私兵たちが、異能を増幅させる最新鋭のレーザーを一斉に放つ。
だが、ユウコは避けない。避けるどころか、自らその攻撃の渦中へと飛び込んでいく。
「そんな安っぽい光で、私の愛が遮れると思ってるの? ――邪魔よ、全部!!」
ユウコが自身の能力を、周囲の敵ではなく「自分自身」に集中させた。
彼女のまとう最高級の防弾・防魔制服が、敵の攻撃と彼女自身の崩壊波の板挟みになり、一瞬で消し飛ぶ。
「……あは。これで、ようやく貴方に触れられるわね、コウタ」
爆煙の中から現れたのは、もはや服の一片すら身につけていない、純白の下着一枚(とど根性)の聖女だった。
彼女は、敵の放った「能力封じの鎖」さえも、自らの肌に触れた瞬間に崩壊させ、全裸(下着)のまま修羅の如く突き進む。
「全裸だと!? 貴様、恥という概念がないのか!」
「恥? そんな低コストな感情、コウタと出会った日に代償として全部燃やし尽くしたわよ。……今の私は、ただの『コウタを愛する暴力』なの!」
ユウコが拳を振り下ろすたび、評議会の最新兵器が、基地の隔壁が、そして議長のプライドが、物理的に塵へと変わっていく。
檻を破壊し、拘束されていたコウタを抱き寄せた時、彼女は今日一番の満面の笑みを浮かべた。
「……助けに来たわよ、コウタ。ねえ、今の私……すごく『むき出し』で、誠実だと思わない?」
「……誠実すぎて眩しいよ! ユウコ、嬉しいけど、とりあえず議長の予備のスーツでもいいから着てくれ!」
「嫌よ。この勝利の余韻、貴方の肌で直接感じたいんだもの」
全裸(下着)で最強の敵を殲滅した聖女は、救い出した最愛の男にそのままダイブした。
学園の平和(とコウタの平穏)は守られたが、現場に駆けつけた救援部隊が目にしたのは、廃墟の中で全裸の美少女に押し倒されている、これまた別の意味で絶望的な表情の無能力者であった。
学園の講堂は、花々と、そしてそれ以上に物々しい警備の兵士たちで埋め尽くされていた。
今日は学園最強の聖女ユウコと、世界で唯一彼女を制御(物理)できる無能力者コウタの、全校生徒・全学園関係者立ち会いによる「合同結婚式」である。
「ねえ、コウタ。見て、このドレス。学園の予算を三割削って作らせた、『絶対に崩壊しない』特殊ナノ繊維の特注品よ。貴方の『無効化(ヌル)』さえ必要ない、完璧な装いでしょう?」
純白のウェディングドレスに身を包んだユウコが、かつてないほど淑やかに微笑む。
その姿は、間違いなく世界で一番美しい「救済」そのものだった。
コウタも慣れないタキシードの襟を正し、少しだけ照れくさそうに頷く。
「……ああ。今日くらいは、平和に終わらせようぜ。全裸(物理)なんて、もう卒業だ」
「ええ。誓うわ、愛しのコウタ」
厳かな音楽が流れ、二人は神父の前へ進む。
誓いの言葉。指輪の交換。
そして、司祭が「では、誓いのキスを」と告げた、その瞬間だった。
「――待ちなさい! その結婚、異議ありよ!」
講堂の天井を突き破り、かつての敵やライバル聖女たちが、未練たっぷりに乱入してきた。
「コウタを独り占めなんて許さない!」「そのドレスごと、バラバラにしてやるわ!」
「……チッ。せっかくの、私の、神聖な、初夜イベントの前座なのに……」
ユウコの瞳が、瞬時に漆黒の「殺意」に染まる。
彼女はコウタとの誓いのキスを邪魔された怒りで、自身の能力――『極大崩壊(アポカリプス)』を全方位に暴走させた。
「邪魔者は、宇宙から一掃してあげるわぁぁ!!」
「ユウコ、やめろ! 破壊(それ)をやったら、講堂どころかこの街が消える! 反射(リフレクト)!!」
コウタが咄嗟に、ユウコの溢れ出したエネルギーを「反射」で抑え込もうとした。
しかし、あまりにも巨大すぎるユウコの「愛(暴力)」と、進化したコウタの「反射」が正面から衝突。
そのエネルギーは、行き場を失い――最も「抵抗が少ない場所」へと収束した。
「――あ」
シュン、という、もはや聞き慣れた「あの音」が響き渡る。
学園予算の三割を投じた「絶対崩壊しないドレス」は、二人の最強の力が交差した特異点となり、一瞬で消滅。
さらにはコウタのタキシードまでもが、計算外の反射角で綺麗にシュレッダーにかけられた。
「………………」
静寂。
乱入してきた敵も、神父も、全校生徒も。
そこに現れた、純白の下着姿の聖女と、なぜかボクサーパンツ一丁になった新郎の姿に、言葉を失う。
「……ふ。ふふふ……あはははは! さすがはコウタ! 誓いのキスの前に、私を……いえ、私たちを『ありのまま』にするなんて。これこそが、偽りのない真実の愛の形ね!」
「違う! 計算外だ! なんで俺の服まで消えるんだよ!」
ユウコはもはや敵のことなど忘れたように、全裸(下着)のコウタに正面から抱きついた。
そして、マイクを掴み、全人類へ向けて宣言する。
「聞きなさい! 私たちは今、服という名の『虚飾』を捨てた! これから私たちは、この姿のまま世界を浄化(物理)して回るわ! 邪魔する奴は、この幸せの余波で塵になりなさい!」
「勝手に心中旅行のテーマを決めるな! 誰か、誰か二人にバスタオルを投げろぉぉ!!」
ウェディングケーキが崩壊の余波で爆発する中、下着姿の二人はそのまま、学園の壁を突き破って空へと飛び去っていった。
それは、世界で一番騒がしく、一番ノンストレスで、そして一番「剥き出し」な、最強カップルの門出であった。
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