第4話『クロの目的』
4話『クロの目的』
「……なあ、クロ」
俺――田中大は、
部屋の隅に立つ“美少女”を見て言った。
声は知ってる。
関西弁。
軽い。
でも――顔が違う。
「お前、
さっきまで影じゃなかったか?」
クロは首を傾げる。
「せやけど?」
「どこからどう見ても、
普通に可愛い女の子なんだが」
「地球に溶け込む用やで」
「溶け込みすぎだろ」
服装は
黒のオーバーサイズパーカーに
ショートパンツ
シンプルショートの白髪
サファイアに負けず劣らずの輝き
を秘めた目
(っていうかこれでクロって名前は...
まぁ仮だしいっか)
クロは自分の頬をつまむ。
「安心し。中身は変わってへん」
「見た目だけ?」
「せや」
「……なんで美少女なんだ」
クロは少し考えてから言った。
「この星やと、
一番疑われにくいからや」
俺は頭を抱えた。
「嘘だろ」 「ほんまやで」
クロはにっと笑う。
「怪しまれるのは、大人の男か、
意味深な美少女や」
「どっちも怪しい」
マンガからどんな影響受けてんだコイツ...
てかどうやって
マンガ手に入れてんの?
手に職つけていらっしゃる?
俺はため息をついた。
「つまり」
「お前は宇宙人で」
「夢と現実を行き来できて」
「地球では美少女の姿をして」
「俺の隣に立つ、と」
クロは満足そうにうなずく。
「完璧な要約やね」
「何一つ完璧じゃない」
俺は本題に入った。
「それで、本当の質問だ」
クロを見る。
「お前、ただの観測者とやらだけじゃないだろ」
クロは一瞬だけ黙った。
それで十分だった。
「……黒幕がいるな」
俺がそう言うと、
クロは小さくため息をついた。
「勘ええなぁ、大クン」
「おるで」
あっさり言った。
「夢を完成させようとしとる存在」
背中が、少し冷えた。
「人間か?」
「元は、な」
「今は?」
「夢の中の方が本体や」
クロは窓の外に視線を向ける。
「そいつな」
「夢は優しい、って言うねん」
「会ったことあるのか?」
「ううん、声だけ聞いた」
「現実より美しくて、渇望も苦しみも削れる」
「完成させてあげるのが、
一番の救いや、って」
俺は吐き捨てる。
「善意のアクセル吹っ切れてんな」
「ふっ」
クロは軽く笑った。
「せやからウチは地球におる」
「黒幕を止めるためか?」「ちゃう」
即答だった。
「止めへん」
「じゃあ、何をしに来た」
クロは、俺を見た。
今度は、観測者の目だった。
「どっちを選ぶかを見るため」
「夢に住むか」
「未完成の現実に戻るか」
「黒幕は前者を増やしとる」
「ウチは――選択肢が、まだ残っとるか
確認しとる」
「……分かった」
「敵がいるなら、話は早い」
クロは首を傾げる。
「倒す気なん?」
「いや」
俺は首を振る。
「完成させないだけだ」
「起きたい奴がいれば、
手伝いもする」
「でも――」
少し言葉を選ぶ。
「正直、
夢に溺れていたい人を、
無理に引きずり上げる気はない。
夢なんて好きに見て何が悪い、
とも正直思う。」
「俺は聖人でもなんでもないし
人にそれっぽく説ける自信もない
...だけど」
「選ばせず押し付けるのは
自由ではないと思う、
押し付けられる夢は、俺が嫌いだ。」
「だから、ぶち壊す。
ぶち壊した上で、本当に自由に
選べるように」
「それでも黒幕の優しさに甘えたいなら
好きにすれば良い」
「まぁぶっちゃけ言うと
他人の夢を見て小説の参考に
出来るないかなってのもある」
クロは、満足そうに笑った。
「それでええんよ
キミらしくあれば
それを信じて突き通せれば」
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「あーあ、もう我慢できへんなぁ」
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