第3話:魔法陣
優牙は頭を掻きながら思考する。
いつもなら放置するところだが今は少しでも暇を潰したい。
「ま、たまにはいっか」
優牙が紙くずを拾い上げようと屈む。
屈むと、思いのほか紙くず以外のゴミも目に留まってしまった。
毎日掃除機は爺ちゃんと交代で掛けていたはずだったのだが――
「やべー、かなりいろいろあるな」
掛け方が甘かったのか、屈んでよく見ると様々なゴミがたくさん落ちていた。
「しゃーない、掃除するか。」
優牙は軽く膝を叩き、立ち上がる。
床に落ちていた拾い上げたゴミを拾い上げ、屑籠に入れる。
ある程度片付けられたら、物置から掃除機をリビングへ運ぶ。
「ま、雑巾は今度でいっか」
ガラカラと掃除機の床ブラシが若干地面に擦れてガラカラといった音が発生する、稀にシャッ、シャッと音が鳴り、埃やゴミを吸い込んでいるとわかる。
「ま、こんなもんだろ」
三〇分程掃除機を掛けたんだ、もう十分だろう。
優牙は掃除機の電源を切り、物置に掃除機を仕舞う。
「ふう、つーかーれーたー」
優牙は思いっきりソファへと飛び込む。
現在の時刻は一六時二〇分、寿司が来るまであと大体二時間とちょっと、それまでどうしよっかな。
優牙はスマートフォンを取り出し、よく使うメッセージアプリを開く。
そいえば、前に水雲から送られてきた猫の面白動画があったな。
メッセージを遡り、動画のリンクをタップして動画を再生する。
動画では猫が悲しげな表情をしながら後ろ足を使って立ち上がり飼い主に向けて必死に飛んでいる。
よく聞く可哀想なのが可愛いというやつだ。
見ているだけで心が癒されるのと同時にクスッと笑い声が出てしまった。
時間が経つのは早いようで、もう数一〇本程の動画を見終えてしまった。
動画を見終えたらスクロールダウンして、見終えたらスクロールダウンする。
こうして仰向けになりながら動画を見ていると腕がプルプルと小刻みに震え始めてきているような気がするが、まだ大丈夫だろう。
再び動画を見続けようとすると一本も見終えないうちに手からスマートフォンが滑り落ちてきた。
俺の鼻突へとスマートフォンが落ちてくる。
「いっ!!」
優牙は鼻を抑えながらソファの上で悶える。
痛みで鼻を抑えながらスマートフォンがどこにあるかと探していると、床から動画の音が聞こえてくる。
どうやら床に落ちてしまっていたようだ。
俺は床へ落ちてしまったスマートフォンを回収するために、体を半分ソファから乗り出しながら下を見てみると変なものを見つけた。
「なんだ、これ?」
床に結構大きめの図形が描かれていた。
「こんな落書き、掃除をしているときはなかったよな」
優牙が先ほどまでの記憶を掘り起こしても、やはりこんな図形の落書きは見ていない。
「なんなんだ?本当に、せっかく掃除したのによ」
ソファから立ち上がるのも面倒だ。
優牙は体を捩じりながら指先で落書きをなぞる。
傷や何かのシミって訳じゃないっぽいけど、指で擦っても取れない。
次第にその図形は淡い青色に発光する。
「う、うおお?なんだこれ、光った!?」
落書きをなぞりながら淡い青色の光が落書きの存在を際立出せる。
そんな非日常の光景が
「す、すげぇ」
ゴトッと、鈍い音と共に優牙は床に落ちる。
落書きをよく見ると、その形はアニメや漫画でよく見る魔法陣のような形になっていた。
そう認識した瞬間、乾いた笑いが出てくる。
「はは、魔法陣て」
我ながら馬鹿だな。
もっと冷静になろうとじっくり落書きを観察する。
落書きは見れば見るほど魔法陣た。
淡い青色に光っているのも、俺が気づかないうちにあったのも、
「もういいよ」
――現実を見ろ
これは実際、なんか、そういうインクなんだろ。
爺ちゃんが仕掛けた悪戯のはずだ。
「――けど」
もし本当だったら、そんな考えが鳴りやまない。
――来て!
魔法陣から女の子の声が聞こえてきたと思った。
気が付いたら俺は魔法陣に触っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます