拓と海
〜少し前〜
私は手土産のお菓子を持って綾音たちの家へ向かった。
着いたのは予定より10分ぐらい早い時間。
だけど、いいやって思ってインターホンを押した。
すると、出てきたのは綾音ではなく拓くんだった。
綾音はまだ買い物に行っていて帰ってきていないと教えてくれた。
それに、聞きたいことがあるからと言って私を家へ入れてくれた。
荷物を置くと、拓くんがお茶を入れてくれた。
そして、自分のカップも持って私と向かい合って座った。
しばらく無言で、気まずい空気が流れたので、
「このお部屋素敵だね。」
と、言ってみた。でも、「ありがとうございます。」と言われ、再び沈黙に陥った。
先に口を開いたのは、拓くんだった。
「失礼ですが、あの、、、もしかして音歌ちゃん?前世で早くに亡くなった。」
何を話すのかと思ったらこれで、私は、人生で感じたことがない驚きに包まれた。
だって、音歌というのは私の前世の名前だから。
実は、誰にも言ったことがないけれど、私には前世の記憶がある。
でも、なぜその名前や私のことを音歌だと分かったのか私には検討が全くつかない。
ただ一応聞かれたから答えなきゃいけないので
「うん、、。私の前世は音歌だけど。なんで、拓くんはそれを知っているの?」
と答えた。すると、
「その、僕は海だよ。覚えているかな。幼馴染だった。性格とかが似ているし、好きなものとかも前世と一緒だったからそうかなって思って。」
海、海、海。海っていう名前を繰り返しているうちにある一人の子を思い出した。
前世で幼馴染で相棒みたいな存在だった子だ。
「わぁ〜。海くんだったんだ。今まで気づかなかった。あらためて、海くん、いや、拓くん綾音の事よろしくお願いします。」
と、綾音のお母さんみたいに頭を下げた。
すると、拓くんは困った顔になった。
「なんでそうなるかな。僕は音歌ちゃんが好きなのに。鈍いから、綾音と結婚も付き合ったのに。全部キミと一緒に過ごせるかと思ってやったんだよ。小学生の時には音麻ちゃんが音歌ちゃんだって気付いていたのに。」
おかしなことを言われ、頭に血が上る。
は?こいつクズか?
「あのさ、、、私は海くんと会えて懐かしいと思ったよ。
でも、それで、、、綾音の10年間を奪わないでよ!
あんなに幸せそうにしていたのに。それをあんたが奪ったんたよ。」
と、私に言い返され、海くんはポカンと口を開けていた。
「え、だって音歌ちゃんのために。」
一生懸命話しているが、ショック?になっているのかな。
「私はもう音歌じゃない。音麻だよ。あなたの好きだった人はもういないんだよ。あなたが好きなのは勝手にして。でも、それに他の人を巻き込まないで。」
でも、負けじと海くんも一生懸命反論する。
「でも、僕は音、音麻ちゃんが好きなんだよ。また出会えるなんて、前世からの運命だったんだもん。」
は?自分勝手すぎる。
「もう、とにかく私の妹を傷つけるなんて許さない。」
と、私が宣言したところで、綾音がリビングに来て話を中断したんだ。
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