第26話 新しい仲間(2)
「志保、ちょっと来て」
「え?今…」
「いいから!!」
志保を廊下に引っ張ってくると私は志保に耳打ちした。
「志保があーゆう人種大っ嫌いなのは知ってるよ」
「えぇ。だから喧嘩売ろうと…」
「ダメだよ!意外といい子かも知れないじゃん。とにか
く、あの性格とか喋り方は抜きにして考えて。あの子
と今後仲良くしていけるかどうかちゃんと中身を見て
考えるの。いい?」
「…わかったわよ」
それだけ言うと、志保は自室に戻って行った。志保を見届けると、私はもう一度リビングに戻った。
「お腹すいたな〜、何か食べ…ん?」
ソファに座っているホノカ…何も変なところはないはずなのに、何か違和感がある。…眼帯を外してる?そういえばさっき志保が聞いた時に答えられないって言っていたけど、どういう意味だ?体を少し傾けてホノカの右目を見てみようとしたその時、目が合った。合ってしまった。
「あれぇ?ハルちゃんじゃないですかぁ。そんなところ
に突っ立って何やってるんですかぁ?」
「え?あっいや…何でもないよ」
なぜか、彼女に探っているのをバレてはいけないような気がして、咄嗟に嘘をついた。
「ホノカちゃんお腹空いてる?私簡単に何か作ろうと思
ってるけど、ホノカちゃんもー」
「見たんですか?」
「え?」
「ホノカの眼帯、外してるの見たんですか?」
鋭く睨みつけるような、何か…ホノカの中でドス黒いものが渦巻いているように感じた。怖い。今はひたすらこの場を離れたい。ここにいちゃいけない。
「い、いや?見てないけど…」
「…そーですかぁ!あ、ホノカも食べますぅ〜!」
恐る恐る返事をすると、ホノカはいつも通りに戻った。
一体、何だったんだ…?
「わ、わかった。ラーメンでいい?」
「深夜帯のラーメンは太っちゃいますよぉ〜?」
「大丈夫だよ!…多分」
あの一瞬…明らかな敵意を、本能で感じた。だが張り詰めたような緊張感も、他愛もない会話をすることで少しおさまった。勘違い…だよね?そう言い聞かせてラーメンを作ろうとホノカに背を向けた…その瞬間。
「ハルちゃ〜ん、嘘はダメですよぉ〜?」
ーゾクッー
何か、固く冷たいものが首筋に当たったような感覚…包丁…?恐ろしくて後ろを振り向けない。
「あ〜あ…せっかく苦しまずに殺してあげようと思った
のにぃ。何で気づいちゃうんですかぁ?台無しです
よぉ。イライラしますねぇ…ホント」
包丁のようなものを首筋にグッと押し当てられた。鋭い痛みとともに液体が滴る感覚…多分血だろう。
「…まぁいいですぅ。今日のところは許してあげます
よぉ。今日のところは…ね」
その言葉を最後に背後の気配が消えた。恐る恐る振り返ると、そこにはもう誰もいなかった。
「…やっぱり、勘違いなんかじゃなかったんだ」
さっき眼帯の隙間から見えた、赤い瞳に鋭い瞳孔。あれは、MOMの特徴の一つ…赤眼だった。
早く…早く皆んなに知らせなければ!…頭ではいくらそう考えても、体が動いてくれない。明らかにすぐそこまで迫っていた、死の恐怖。考えないようにしようと思えば思うほど、恐怖がフツフツと湧いてくる。もう、立てない。
ーピーッー
私は、やかんが鳴らす汽笛をただ、床にへたり込んで上の空で聞いていた。ここは危ない…ここから離れないと。早く。足を引きずるようにして歩き出す。焦りと不安に押し潰されそうになりながら、私はリビングを後にした。
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