第24話 初任務(2)

「…?ハル、戦闘中に何やってるの…?」

「まぁ見てて」

指先に熱を集中させるイメージ…できた。私は作った〝それ”を周りにまいた。するとネズミ型はたちまち鼻を抑えながらのたうちまわった。

「ど、どうなってんだこりゃ!?」

「ハル、一体何をしたの…!?」

「説明はあと!今のうちに殲滅するよ!」

のたうちまわっているネズミ型を次々と倒していく。志保と唯兎は呆気に取られているが、朝木は状況を察してすぐに参戦した。私は夢中で敵を切った。

―――――――――――――――――――――――

「…これで全部、かな?」

「あぁ、そのようだな。任務完了だ」

地面には十数匹のMOMの亡骸が転がっている。糸がプツンと切れたかのように、緊張と恐怖が押し寄せてくる。息が上手くできない。なんか…私が私じゃないみたいだった…。敵とはいえ生き物を、あんな…。

「ごめんなさい、最後全然戦えなくて…」

志保のその謝罪の言葉で、少し正気に戻れた気がした。ずっとフワフワした、夢の中にいるような感覚だった。

恐怖を、緊張を、逸らすかのような…。

「俺も…なんだかんだこれが初任務だったから緊張しち

 まって…全然上手く立ち回れなかった…すまん」

唯兎、初任務だったんだ…。

「いや、ハルがおかしいんだよ。初任務であんなに冷静

 に立ち回れるやつはそういねぇ。お前らも初任務にし

 てはかなり冷静だったぜ。…とにかく帰ろう。話は歩

 きながらしようぜ。つっても気は抜くなよ、いつどこ

 からやつらが襲ってくるかわからないからな」

やっと帰れる…でも、2人とも冷静そうに見えたけど、余裕なかったんだな…。

「そういえば、結局何をしたの?」

「あぁ、あれは…ネズミの習性を利用したんだよ」

「ネズミの習性?」

「そう。ネズミってハッカとかのツーンとした匂いが嫌

 いだから、ハッカ飴を溶かしたのを地面にまいたら上

 手くいくかなって」

ちなみにモスキートーンも苦手だが…そんなもの出したら他のMOMも寄ってくるかもしれないし、何よりずっと出すのは私がキツい。

「あ、そういえばあなた小学生からずっと生き物係だっ

 たわね」

「うん。今も生き物委員だよ。…あの子達、元気にして

 るかなぁ…」

可愛がっていたうさぎやかめを思い出す。

「…生き物好きなのか?」

唯兎がこちらを伺うように聞いてくる。柄にもなく気を遣っているのだろうか。

「うん。小さい頃からずっとね」

「なら、この仕事は向いてないんじゃ…」

「まぁ…ね。でも、誰かがやらなきゃいけない仕事なん

 でしょ?なら私が当選したのに、逃げるわけにはいか

 ないよ」

「…なんというか、バカ真面目ね。昔っから」

「でも私だって人並みに恐怖とか緊張はしてるんだよ?

 人よりちょっと冷静に判断できるってだけで」

「あら、そうだったの?」

そんなことを話してるうちに、ワープゲートについた。

「よし、帰ったら宴だ。超美味い料理頼んでおいたから

 な。政治家御用達の料亭に準備してもらったんだ。

 …まぁ雨宮は食べ飽きてるだろぉが」

「は?どういうことだよ」

「あれ、言ってなかったっけ?志保って超金持ちだよ」

「は?」

「内閣副総理の雨宮孝太郎って知ってるかしら?」

「あの人志保のお父さんだよ。あと王手衣類メーカーの

 kuraraの女社長は志保のお母さん」

「は、はぁぁぁぁあ!?」

唯兎の驚きの咆哮が草原にこだました。その後唯兎は志保にしつこく質問し、キレた志保にハイヒールで足を踏んづけられてまた叫ぶことになったのだった。

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