第23話 初任務(1)

「敬礼!」

ーザザっー

「第四部隊、これより任務を開始する!身支度と心の準

 備が出来た者から瞬間移動装置に乗るように!」

ついにこの時が来てしまった。朝から心臓が爆発しそうだったが、今は逆に心臓が止まらないか心配だ。

「ハル…大丈夫?顔色が悪いけど」

「だ、大丈夫。初任務だし、ちょっと緊張してるだけ」

「そう?ならいいけど…」

やはり志保が一番に乗る。次に唯兎が続く。最後にゆっくりと私も乗ったのを確認すると、朝木も乗った。

「これから先は自分の身は自分で守ること。だが、命の

 危機を感じた時は迷わず俺や仲間に頼れ。絶対に1人

 も死ぬな。いいな?」

「「「はい!!」」」

ーシュインー

―――――――――――――――――――――――

テレポートした先には、広大な草原が広がっていた。

「気をつけろ、どこからMOMが飛び出してくるかわか

 らないからな」

「「「了解」」」

昨日作戦を教えられた。まず、この草原は奇襲されたらひとたまりもないため陣形を組みゆっくり確実に進む。草原を抜けると岩山が見えてきて、そのどこかにアジトがあるらしいが、ここは私の能力で岩に熱を持たせ、外に誘き出す作戦だ。

「ねぇ、草原ってどのぐらい続くの?」

「大体300m歩いたら岩山に到達すると思うが、正

 確にはわからない」

「……あれじゃないか?」

唯兎の指差す方を見ると、赤茶色の岩肌が見えている。

「あれだな。全員、最後まで気を抜くなよ」

「「「はい!」」」

―――――――――――――――――――――――

「ついたわね」

「ここが…MOMのアジト…」

ここまで何のアクシデントも無かったが、不安なことには変わりなく、皆んな自然と口数が少なくなっていた。入り口は洞窟のようだが、ある程度奥まで行くと洋風のお屋敷のような廊下が続いている。私がゆっくりと前に進むと、朝木がいきなり腕を掴んで後ろに引っ張った。

「ちょっ!?」

「気をつけろ、トラップだ」

下を見ると、少し違う色のタイルがあった。これだけで罠だと見破るなんて…流石手練れだ。

「相手も知能がある。常に細心の注意を払え」

「りょ、了解!」

今度は前も下も見ながら進む。するとドアと思しきものがあった。目配せすると、朝木はゆっくり頷いた。

『この形の岩山だと届かないかもな』

『え?』

『やつらは大体地中に巣を作るからな。しっかり中まで

 熱が行き渡る場所は限られてくる。となると…扉から

 やるのが最善だな。ハルは扉を探せ』

『わかった』

昨日の作戦内容を思い出しながら扉にゆっくり触れる。何もないのを確認すると、床に手をついてイメージする。

『イメージが大切だ。どんなものでもいい、自分がわか

 りやすく、且つ応用が効きやすいものがいい』

「木の根っこのように…地下へと伸ばしていくイメージ

 …練習の成果を生かすんだ!」

ージュアアアー

「…これでいい、のかな?」

「上出来だ!外に出るぞ!」

「「「了解!」」」

暗い廊下を必死に走ると、岩肌の隙間から光が見えて来た。外に出るとすでに何体かのMOMがでてきていた。

「ギギィ!!ギィギィィイ!!」

「……」

ん?朝木、どうしたんだろう…どこか上の空というか、生気がないような…こんな戦場でどうして…?

「朝木!指示を!」

志保が苛立たし気に叫ぶ。朝木の目に生気が戻った。

「…あ、あぁすまん。陣形を組め!」

「「「了解!」」」

「志保は時間を止めろ。昨日言った通りにやりゃあでき

 る。右前と真正面のやつ二体を頼む」

「了解!」

「唯兎は左奥辺りに電流を流して一気に倒せ」

「了」

「ハルは俺たちのサポート頼む。取り逃したやつの駆除

 もだ」

「はい!」

こうして見てみるとちゃんと上官って感じがする。いつものおちゃらけた雰囲気が打って変わり、頼もしい先輩のようだ。…ようだっていうか実際そうなんだけど。

「ハル!そっち行ったから頼むわね!」

「了解!」

実戦の訓練は全くしていないのに、妙に冷静だ。他の2人も落ち着いて戦闘している。それに、練習の時より力を操れている気がする。これが俗に言うゾーンというやつなのだろうか。

「志保!右前からネズミ型のMOMが…あれ?よく見る

 とここにいるMOMって全部ネズミ型?」

「そうだけど…それがどうかしたの?」

なるほど…それならあの手が有効かもしれない。試してみる価値は十分ある…!!

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