第20話 力(2)
やっと終わった…。緊張しつつも、なんとか式が無事終わった。にしても、画面に映ってた人が思ったよりおじ…ご年配の方で少し驚いた。あんな人も…戦っているのだろうか。
「授与おめでとう、美坂」
「ありがとう」
「ハル!授与おめでとう。すごい緊張してたわね」
いつの間にか志保がベランダから戻ってきていた。朝木は何か言いた気だが、口をつぐんでくれている。少しは空気が読めるようで安心した。
「うん…上手くいってよかった」
「じゃ、授与された力を発表するぞ」
朝木が私の手の甲をまじまじと覗き込む。皆んなゴクリと唾を飲み込む。
「美坂の力は…"ネツ”だ」
「…え?」
「すげぇぞ美坂、大当たりだ!」
「や、やったぁ…?」
「なんか私達のと比べると…」
「地味、だよな…」
「お前ら、全然わかってねぇな。ネツは万能の力として
有名なんだぞ」
「例えば?」
「水中の敵なら水に100度ぐらい熱を持たせれば簡単
に殺せるし、燃えるものなら着火できる。金属なんか
も溶かせるから敵のアジトへ乗り込む時も楽ちんだ。
おまけに熱や火が一切効かなくなる。そしてなにより
強いのが…体温を調節できることだ」
「え?なんで?」
「そりゃあお前、体の熱を調節すりゃあ訓練すればバテ
なくなるんだよ。どんだけ走ってもな」
「え!?」
「そもそも、バテるのは体温調節が追いつかなくなって
脳が運動をやめろって命令をするからだ。熱を自分で
吸い取れんなら体温調節なんていらねぇからな」
「す、すごい…」
「さらに熱が出た時も自分で熱を吸い取れるから一瞬で
完治だ。もちろん、仲間の熱もな」
「そんな万能な力があるんだな…」
「だがこれも訓練が必要だ。お前にも課題を与えるから
今日から一週間はそれに取り組め。雨宮、お前もだ」
「えぇ、これを毎日…!?」
志保がものすごく嫌そうな顔をしている。
「それで、私の課題は?」
「とにかく潜って、肺活量を鍛えるんだ。肺活量がなき
ゃ、いくら体温調節できても限界が来ちまうからな。
これから一週間はトイレとご飯以外ずっと潜れ。そう
だな・・息止め目標20分な」
「は!?無理に決まってんじゃん!てか睡眠は!?」
「それをなんとかすんのが課題だ。あと寝たら死ぬぞ」
「えー!?」
「ちょっと朝木!やり過ぎよ!!」
「雨宮、お前もだぞ。ご飯とトイレ以外訓練だ」
「は〜!?なおさら意味わかんないわよ!!」
「俺の命令は絶対だ。サボったら政府にチクるぞ」
「鬼!悪魔〜!!」
「なんとでも言え。とにかく、これから一週間は訓練尽
くしだ」
「お前ら頑張れよ〜。俺は高みの見物して…」
「唯兎、お前も課題だ」
「はぁ!?」
「ざまぁないわね」
「自業自得だよ」
「ちくしょー!!」
「一週間後、この時間にここに集合だ…頑張れよ」
それだけ言うと、朝木は体育館から出て行ってしまった。その後は全員無言で課題に取り組んだ。食事の時もなんとなく喋る気になれず、私達はずっと課題のことだけを考えていた。
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