第19話 力(1)
「雨宮の力は…"トキ"だ」
「…トキ?」
「時間の時でトキだ。この力はすげぇが…ちーと扱いが
難しい力でな。まぁ、何にせよ当たりだ」
言い方を濁しているのが気になるが…まぁひとまず当たりだと言うなら喜ぼう。
「やったじゃん志保!当たりだって。朝木が言うならき
っとすごい力なんだよ」
「そ、そう…ね。良かったわ」
「お前らいまいちこの能力のすごさわかってないな?よ
し、見せてやろう。志保、この植木鉢に手をかざして
〝ナデーファ”と唱えろ」
「…?わ、わかったわ。ナデーファ!」
ーパァァアー
「キャア!?な、なに?」
強い光が当たり一面を照らす。光が収まり目を開くと、なんと小さかった子葉が立派な本葉に成長しているのだ。時を速めたり遅くしたりできるってこと…?それってかなりチートなんじゃ…。
「志保!すごいじゃ…え?」
「はぁ…はぁっ…!」
志保が息切れしてる…?志保はかなり体力がある。それは、さっきの長距離走でも十分わかった。志保がこんなに息切れしているのはこれまで一度も見たことがない。
「志保!だ、大丈夫…?」
「いっ、いきなり…疲れがっ…!」
「言ったろ?扱いが難しいって。この力はかなりレアだ
が、こんな風にすぐに息切れしちまうからな。いちい
ち疲れてちゃきりがねぇ。戦場じゃ敵は待ってくれ
ねぇんだ、戦力として使うには訓練が必要なのさ」
「…確かにこの疲れ様じゃ、その後も戦うのは厳しそう
ね」
「まぁ、だから疲れねぇよう訓練しなきゃなんねぇんだ
が…これがまた難しい。お前には課題をやる。おい、
あれを持ってきてくれ」
朝木がそう言って手を叩くと、どこからか作業服を着た人が現れて、タケノコを持ってきた。
「これをとりあえず20本連続で1メートルにしろ。時
間は…そうだな、1分ってとこか」
「はぁ?そんなの無理に決まってんじゃない。子葉を本
葉にするだけでこんな疲れるのに…」
「それが課題っつうもんだろ?やり方は後々に個別で教
えてやるから、今はとりあえず…トデーファぐらいで
やってみろ。さっきよりも重いが頑張れよ」
「わ、わかったわよ…」
そういうと志保はベランダに出て練習し始めた。
「よし、じゃあ美坂も30分完走だ」
「わ、わかった」
「よーい…スタート!」
―――――――――――――――――――――――
「はぁ…はぁ…何メートルだった?」
「9882。お前も速えぇな」
志保は確か10012だったか。また負けちゃったな。
授業でも都大会でも長距離では志保に手も足も出ない。
「安心しろ、雨宮がおかしいんだ。お前も普通に考え
りゃめちゃめちゃ速いぞ」
「…ありがと」
「じゃ、授与式を始める」
そう言うと朝木が壇上に上がる。雰囲気が変わった。
「美坂春、壇上に上がりなさい」
「は、はい」
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