第17話 授与式(1)

「さて…気を取り直して、次は長距離走をする」

あれから小一時間、唯兎がメソメソしているのを朝木がなだめている間に私達は他の測定をした。身長、体重、柔軟、握力等その他諸々の筋肉系、水泳もやった。

「やっと得意分野が来たわね!」

「志保長距離得意だもんね〜」

そう、私は短距離、志保は長距離で都の大会に一緒に出たりするぐらい志保は長距離が得意だ。私は家にお金を入れるため賞金のある大会に出ているけど、志保は私に付き合ってくれているだけで、本当は出るつもりなど微塵もないらしい。

「ここまで総合記録は、私も志保も10段階中6だね」

「すげぇな…一般隊員が力ありで平均6だぞ…」

「ふーん」

「他人の記録には興味ないわ」

「いや、お前らもっと喜べよ」

振り向くと唯兎が驚いたような呆れたような顔をして立っている。

「あら、復活したの」

「うっ…そのことについては触れないでくれ」

「ふふっ、わかったわよ」

完全に遊ばれている。本人もその自覚があるのだろう。

…なんか、すごく…耐えている。

「そうだな…1人ずつ走るか。まずは雨宮が走れ」

「わかったわ!」

ルールは事前に説明されていた。30分グラウンドを走り続けて何メートル走れたかを記録する。中学でも10分版でやったことがあるため、朝木のわかりずらい説明でもなんとなくわかった。

「じゃあ、よーい…スタート!」

短距離ほどではないが長距離にしてはかなり速いスピードだ…大丈夫か?

「おいおい、かなり飛ばしてるけど大丈夫かよ」

―――――――――――――――――――――――

「ま、私が本気を出せばこんなもんよ」

測定機の数値は10012mを示していた。

「まじかよ…30分で10キロ…」

唯兎が唖然としている。そりゃそうだ。世界記録が確か10800とかだったはず…。

「志保、大会では全然本気じゃなかったんだね…」

「当たり前よ。あんなちゃちな大会で本気を出したら、

 私のプライドが許さないわ。それに、スカウトとかさ

 れたら後が面倒じゃない」

「志保らしいね…」

「よし。じゃ、早速授与式をするぞ」

「え?私は?」

「言ったろ、1人ずつ走るって。授与も1人ずつのほう

 が後々面白いんだ」

面白いからで順序を変えるのはどうかと思うが、どんな感じなのかは先に見ておきたい。

「雨宮志保、壇上に上がりなさい」

「はい」

お、ちゃんと敬語使ってる。こういうマナーはしっかりしてるんだけどなぁ…とため息を吐くと、朝木が液体の入った桶のようなものを持ってきた。桶は銀色で、装飾が豪華だが、すごく管理が大変そうだ。洗ったら錆たりしないのかな…。

「おい、授与が始まるぞ。よそ見してていいのか?」

唯兎がこづく。嫌なやつだが、私達のことをよく見てくれている。悪い人ではないんだろうけど…まだまだ仲良くなれそうにない。

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