第15話 テスト開始(1)
「おい、皆んな起きろ〜!」
「「「………」」」
「お前ら…いい加減起きろー!!!」
ーカンカンカンカンカンー
「うっ、うわぁぁぁあ!?」
「な、なに!?敵襲!?」
「朝っぱらからうるっせぇなぁ、お前ら」
「何であんたはそんなに落ち着いてんのよ!?」
「そりゃあ毎日されてりゃ慣れるだろ」
「うるさいぃ…朝木いい加減やめて!!」
「全員起きたな!ガハハハ!!」
―――――――――――――――――――――――
朝から酷い目にあった…。フライパン叩いて起こすなんてアニメでしか見たことがない。しかも朝の5時に起こして10分で準備しろだなんて…鬼だ。テレポート先はまだ来たことのない施設だけど、ここはなんなんだろう?見たところ学校のようだけど…。
「さ、点呼とるぞー!昨日やり方の説明はしたよな?よ
し…初め!」
「い、いーち!」
「にー!」
「さ〜ん…ふぁぁあ」
大あくびをする唯兎を朝木が睨む。
「おいそこ!しっかりやれ!」
「しっかりやれって…これ意味あんのか?」
本当にその通りである。3人なら点呼とるより人数をそのまま数えた方が絶対に速い。そもそも一人いなかったらわかるだろ。
「規則なんだよ。俺も意味ねぇとは思うが…他の隊でえ
れぇ人数が多いとこがあるからな。どこも統一しなき
ゃなんねぇからこうなってんだよ」
「お前らよくこんな無意味なこと張り切ってできるな」
「怒られたくないし…」
「あんたがやる気なさ過ぎなのよ」
「ちょっと志保…!」
「何よ?」
言い方悪い、と言おうとしたところでとどまった。昨日私も唯兎にかなりキツい言い方をしてしまった。人のこと言えないけど…言った方がいいよなぁ。この調子じゃいつまで経っても仲良くなんて無理だ。でも、志保に言ったところで言い方が直るとは思えない。
「やっぱなんでもない」
「…あなた昨日から言動がなんか怪しいわよ?」
「なんでもないから!で、朝木。今日は何するの?」
志保から朝木に視線をずらす。ここは話を変えたほうがいいだろう。朝木は全然助け舟を出してくれないし。朝木は歩き出し、私達がついてきているのを確認すると、一呼吸おいて話し出した。
「今日は測定テストをする」
「そんなことやるより訓練したほうがいいんじゃないか
しら?」
「いーや、これは大事なことだぞ!お前らの能力を見極
めて、それに見合った力を与えるためだからな」
「「力?」」
「力って、漫画の主人公とかが持ってるような?」
「そんな便利なもんじゃねぇよ。だがまぁ…側から見れ
ば魔法みてぇに見えるだろぉな。唯兎、ちょっと見せ
てやってくれ」
「わかった」
もともとファンタジー漫画が大好きな私からすれば、夢みたいな話だ。志保の瞳孔も大きく広がっている。朝木はそれを見て…顔をしかめている。
ーバチバチバチバチー
唯兎の周りに火花が咲く。まだ薄暗い朝の空気を明るく照らす光の花は、幻想的で…神秘的だった。光が収まってからもまだボーッと呆けてしまう。
「これが唯兎の力〝カミナリ”だ。力は主に自然界のエ
ネルギーを使う。だからなんでもできるわけじゃねぇ
んだ。MOMの力を借りようとした時もあったんだが
なぁ…逆に人間の方が乗っ取られちまった。だから自
然界と契約して、力を貸してもらってるのさ」
「契約?契約ってことは、こちらも何かを差し出してる
ってことよね」
「あぁ。森とか砂漠、海を綺麗に保ち、自然界の神々が
不快にならない手伝いをしている。ていってもエネル
ギー貰ってるだけだからな。ある程度訓練しないと使
い物にならねぇもんが多い」
だから道端でよく清掃員を見かけたのか。税金が高くなったおかげかと思ってた…。流石にラノベみたく最初からチートとはいかないか。
「そう…なら良かったわ」
「良かったって何が?」
「小さい頃、お父様に色々な国の話を聞くのが好きだっ
たのだけれど…その話の1つとして、とある民族の話
を聞いたことがあるの。その民族は山神様や海神様を
鎮めるために生贄を差し出しているらしいの。それが
この組織でも行われているんじゃないかって…」
「そ、そんな民族がいるのか…」
「強烈だね……」
「そんなことはしないさ。まぁ力の強い神ならそれを望
むやつもいるだろうが…そこまで強い神だと人間のほ
うが力の強大さに耐えられないからな。絶対そうはな
らないから安心しろ」
他の神より強い神も存在するのか…ていうか神様って1人じゃなかったんだな。そうこうしているうちに廊下の突き当たりについた。
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