第13話 寮での出会い(1)

「……あんた、誰?」

ドアの向こうには、まさに美少年と呼ぶに相応しい人物が立っていた。でも生憎私は志保で美慣れしてるので顔が近くても全くドキドキしない。

「え?…私は美坂春。あんたは?」 

「素性もはっきりしないやつに名前教えるかよ」

「…は?」

何こいつ。微妙に腹立つな。聞いといて教えられないはないんじゃないかと思うが、ここで口論したって仕方ないので無視することにした。美少年を押し退け、部屋を出る…寸前で腕を掴まれた。

「…何?」

「……それだけ?」

突然何を言い出すんだろう。自分が先に素っ気なくしたくせに…こいつは何を期待してたんだろうか?

「…意味わかんないんだけど。離して」

「え…?」

気持ちが悪いので腕を掴んでいる手を半ば振り払うようにして話すと、さっさと部屋を出た。美少年はまだ何か言っているようだったが、気にせず部屋を後にした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「おー!目が覚めたか」

ある程度廊下を歩くと朝木と志保に合流できた。

「ここどこ?てかなんで私寝てたの?」

「お前、覚えてないのか?柱に思いっきりぶつかってそ

 のまま倒れたじゃないか。志保が何度も呼び止めてた

 のに。どうしたんだ?」

全く記憶がない。そんな漫画みたいなことをしたなんて…。あ、あの時は瞬間移動ステーションでのことを考えることに集中してたから…。

「心配したのよ?一体どうしたの?」

「ごめん…考え事してた」

「ハルってなにか気になり出すと周りが見えなくなるわ

 よね〜。いい加減治しなさいよ」

「志保こそ機械オタク治しなよ」

「うっ…」

「まぁまぁ、その辺にしとけ。それよりハルは寮の紹介

 がまだだったな。ついてこい」

そうだ。寮ってどんなとこなんだろう。…さっきのやつみたいなのばっかりだったらやだな。

「そういえばなんで寮と特高部は離れてるの?一緒にし

 たほうが楽でしょう?」

「万が一突破された時のことを考えると、そんな怪物を

 ヒヨっ子共の大勢いる場所に向かわせたら一網打尽だ

 ろう?ま、ここのセキュリティ突破するようなやつが

 出てきたらそもそも誰も勝てねぇだろうがな」

色々考えられてるんだなぁ…と感心していると、志保が立ち止まった。

「ここだったわよね?」

「あぁ。美坂、ここが特高部寮だ。ちゃんと場所覚えと

 けよ」

どんな人がいるんだろう…?不安7割、期待3割でドキドキしながら、ゆっくりドアノブを回す。

ーガチャンー

「「…え?」」

「な、なんであんたがここに…!?」

そこには、先程会った美少年が気怠げに立っていた。相手もまさか私が来るとは思っていなかったらしく、目を見開いてこちらを凝視している。

「それはこっちのセリフだ!お前、侵入者じゃなかった

 のか…!?」

「そんなわけないでしょ!」

「あら、2人とももう知り合いだったの?」

「そりゃあ良かった!唯兎は友達いねぇからなぁ…仲良

 くしてやってくれ、美坂!」

そう言って唯兎と呼ばれた美少年の頭をワシワシと撫でる。唯兎は嫌がってるが朝木は気づいていないようだ。

「絶対無理!!こんな捻くれナルシスト!!」

「なっ…!そんなこと言ったらお前だって十分捻くれて

 るだろ!!」

「ま、まぁまぁ。その辺にしとけって、な?美坂、ちょ

 っと来い」

朝木が歪みあっている私たちをなだめるように間に入ると、そのまま私を連れて部屋を出た。

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