第12話 それぞれの記憶(2)
〈206938の方はカードをかざして下さい〉
ーピピッー
〈承認しました。奥へお進み下さい〉
「よし。いくぞ、お前ら」
「うん!ほら…行くよ志保!」
「うーん…名残惜しいわ。現代にこんな技術が…」
ブツブツ呟きながらロボットの方へ歩いて行くので服の裾を掴んで無理やり引っ張る。
「もう!早く行くよ!」
「あ、ちょっ、ちょっと!」
〈3人分の重量データを確認しました。直ちに転送を開
始します。ゲートから絶対に出ないで下さい〉
「もう少し見ていきたかったわ…」
「いい加減諦めなよ」
「毎日嫌でも見ることになるんだから、今日ぐらい我慢
しろ。ま、ゲートを出ようとすれば体の一部だけ転送
解除されて死ぬからどのみち戻れないけどな」
「えぇ!?そ、それを早くいいなさいよ…」
「さっき説明されたでしょ?聞いてなかったの?」
「………」
〈まもなく転送が完了します〉
「お、もう着くってよ」
「おっけー。あ、そういえば朝木」
「なんだ?」
「ここの施設のセキュリティが壊されたりしたら警報と
か鳴るの?」
「あぁ、一応なると思うが…ここのセキュリティを壊せ
るMOMなんていないぞ?そんなのが出たらそれこ
そ…」
〈転送が完了しました。お忘れ物の無いようご注意下さ
い。本日も瞬間移動装置をご利用いただき、ありがと
うございました〉
月についたなんて全然実感がわかない。酸素供給マスクと書かれた札の横にそれらしきマスクが大量に置いてある。ガスボンベも何もついていなが、本当にこんなので大丈夫なのか?…てか朝木ちょっとは説明しろよ。
「よし、着いたな。急いでマスクをつけろ。早く出ない
と次の奴が転送出来ねぇから急ぐぞ」
「はーい。ハル、行くわよ」
「…うん」
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『そんなのが出たらそれこそ…世界の終わりだ』
頭の中で朝木がさっき言った言葉を繰り返す。そうだよね。そんなわけない…よね?じゃあ、さっき見たものは一体何だったんだろう。並んでいる人のコートから、しっぽのようなものがチラッと見えたような…。きっと見間違い…それかコスプレか何かだ。…いや、でもあれはそんなクオリティじゃ…。
「…ル?……い」
あーもう!何でもっとちゃんと見とかなかったんだろ
う。もっと早く朝木に相談すれば…。
「…ル!…ーい!!」
いや、でもあれがまだMOMと決まったわけじゃない
んだし、そんな焦らなくても大丈夫…だよね?
「ハル!危ない!!」
「え?」
ーゴンッー
「ちょっとハル!?大丈夫…!?ねぇったら!」
鈍い音とともに鋭い痛みが襲い、頭がふわふわする感覚が…ねむ、い……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
…ここはどこだろう?目が覚めるとベットの上にいた。
消毒液の独特の匂いが、鼻腔をくすぐる。医務室みたいだけど、朝木と志保はどこいったんだろう?とりあえず、部屋の外に出てみるか。
ーガチャンー
ドアノブに手をかけたところで、勝手にドアが開いた。
「……あんた、誰?」
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