第8話 特攻隊へようこそ(2)

「あ、それと風呂も共同だぞ。その代わりと言っちゃあなんだが、大浴場があるしヒノキの露天風呂付きだ。どうだ?贅沢だろ」

なんだろう…スゴイことなんだろうけど、志保からすれば当たり前のことを言われてるだけなんだよなぁ…絶対言うだろうなぁ。

「…別に普通よ?それよりサウナはないの?」

ほら言った、言っちゃったよ。今回はフォローできないよ?私。今日はあんま余裕ないんだから。

「………は?」

「いや、私の家にはあるから…」

「……なぁ。美坂、とか言ったか?こいつがおかしいんだよな?俺がおかしいんじゃないよな?」

「心配しなくても、志保の感覚がおかしいだけだから。おじさんは正しいよ」

「だ、だよな…安心したわ」

まぁ普通はこうなるわな。志保と一緒に居過ぎて、私の感覚がおかしくなってきてるんだろう。

「おっ、着いたぞ」

顔を上げると、大きな門が見えてきた。おじさんは門の前で車を止めると、外に出た。黒光りする門は鉄のようだが、違うような気もする。

「お前らはそこで待ってろ」

門の柱にあるスピーカー…?に向かって話しかけているようだ。少し時間が経つと門が大きな音を立てて開いた。おじさんは門の中まで車を走らせると、先に外に出た。

「二人とも、車を降りろ」

車の外に出てみると、一見ただの洋風造りのお屋敷があった…けど、なんだろうこの違和感。何かがおかしい。

「この建物…窓がないわ。それどころか扉もない…材質も、木…ではなさそうね」

そう。そうだ。この建物は、建物と言うにはあまりに不便な作りをしている。違和感の正体はそれか。

「安心しろ、俺も初見はそんな反応だった。…この見た目には理由があるんだ」

「どんな?」

「…立ち話はこの辺にして、中に入ろう。ここだって安全かわからないからな。この建物のことについては後で説明する」

「でもこの建物扉がないわ。どうやって入るの?」

「ここはMOM特攻隊の本部に通ずるゲートようなものだからな。セキュリティがレベルも高いんだ。ちょっと下がってろ」

そう言うや否や門のところまで行き、またもスピーカーのようなものに話しかけている。すると、今度は門が閉じ、代わりに地下へと続く階段が現れた。

「どうだ?すげぇだろ。この施設には様々な仕掛けが張り巡らされているが、中でも俺はこの仕掛けが一番好きだ。隠し扉ってなんかワクワクするだろ?」

…ちょっと意外だな。これまでは真面目な話しかしてなかったからか少しお堅い、怖い印象だったけど、意外と子供っぽいところもあるんだ…。私の中で、呼び方がおじさんから朝木に昇格するぐらいには好感度が上がった瞬間だった。信用してもいいかも…少し、そう思えた。

「さ、中に入るぞ」

真っ暗な長い長い階段を下る。朝木がいつの間にかランタンを持っていた。ゆらゆら揺れるランタンの火をぼんやりと見つめながら、ゆっくり下へと降りていく。靴音とランタンの軋む音だけが、真っ暗な階段に響く。

「さぁ着いたぞ。改めて歓迎しよう」

ーギィィィイー

木製の扉が、大きな音を立てて開いた。

「特攻隊へようこそ、おふたりさん」

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