第6話 終わりの始まり(2)

「キャアアアアア!!」

「志保!!」

ードンッ ドンドンッー

「え…?」

「おい!お前ら怪我はないか!?」

さっきまで志保に飛び掛かろうとしていたコウモリ型が地面に倒れている。状況を理解しようにも、突然の出来事で脳内がパニックを起こしている。

「え、えぇ…大丈夫」

コウモリ型のせいで全然気が付かなかったけど、私達の後ろに40代前半ぐらいのおじさんが立っていた。銃を持っているし、この人に助けられたんだろう。

「助かったわ…ありがとう」

「当然のことをしたまでさ。礼には及ばねぇよ」

「ところで、あなたは一体…」

「すまんがその質問は後にしてくれ。今はいつMOMが襲ってくるかわからないからな。ちょっと待ってろ、今車出すから」

志保とおじさんの会話を、私はただ呆然と聞いていた。この2人はなぜ異常事態にこんなにも早く対応できるんだろう。候補者になった時も結構すんなり受け入れられたし、自分もかなり適応力は高い方だと思ってたのに。

「ハル?…ちょっと、聞いてる?おーい!」

「…え?あ、うん。で、なんだっけ?」

「もう!やっぱり聞いてないじゃない!…本当、今日どうしたの?あなた変よ。ずっとボケ〜っとしてて」

「大丈夫…それより、あの人何者?」

「わからないわ。でも2人だけで行動するよりは銃を持ってるあの人といたほうがまだ安全だと思うの。だから私は一旦あの人について行ったほうがいいと思うんだけど…どう思う?」

「…わからない」

何もわからなくなってしまった。歯車が狂ったのはいつからだっただろう?今朝のニュースを見た時から?プランを志保に任せた辺り…いや、もっと前から?もう、何もわからない。

「え?いや、わからないなりにどうしたいとか…ないの?本当に?」

「……うん」

「やっぱり、あなた今日変よ。いつもなら図々しいぐらいはっきりやりたいこというのに」

「……」

「…ま、いいわ。それより、結局あの人についていくってことでいいのよね?後で文句言うのはなしよ?」

「うん。それでいい…と思う」

「……」

「どうかした?」

「…いえ、別に。じゃあ、そうしましょう。どの道この状況を打破する策なんて思いつかないし。…にしても遅いわねぇ。大丈夫かしら?」

「…あ、戻ってきた」

赤い車が見えてきた。かなり狭い小道のため木の枝が車にスゴイ音を立ててぶつかっているが、お構いなしにこちらに猛スピードで走ってくる。

「お前ら早く乗れ!もう弾切れなんだ。これ以上奴らが襲ってきたらお前らを守り切れるかわからねぇぞ!」

「ハル!行くわよ」

「うん…」

志保に連れられるがまま、私は車に乗り込んだ。バタンという車のドアが閉まる音に、私は心底安心した。

「…それで、あなたは一体何者なの?」

志保がシートベルトをつけながら問いた。私は喋れるだけの心の余裕がなかったため、ただ二人の会話に耳を傾けていた。

「そうだな…ま、約束だしな。俺は朝木龍司。お前ら一般人は、マディアと呼んでいる組織の人間だ」

「「え…!?」」

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