第3話 最後の日常(1)
「志保!!」
「いやぁぁぁあ!!!」
(あの時もっとちゃんとニュースを見ていれば…!)
私は自分の今朝の行動を猛烈に後悔していた。話は、5時間前にさかのぼる。
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ー5時間前 午前7時ー
私達はちょうどその頃、朝食を食べていた。
「ねぇ志保、今日から3日間のプラン志保に任せっきりだったでしょ?あれ今どうなってるの?」
昨夜、一緒にお風呂…というより大浴場に入った時、3日間の休暇のプランについて話し、結局志保に任せることになった。決心のついた今、最後の地球ライフを2人で楽しもうとしていた。
「そのことなら順調よ!いい機会だし話しちゃうわね」
よかった。志保がまだ昨日の状態だったらどうしようかと少し心配だったが、大丈夫そうだ。
「じゃあ…まず、今日は何をするの?」
「11時に家を出て、少し早いけどお昼ご飯にしましょう。お店は私のおすすめのお店でいいかしら?」
「うん!楽しみ〜!」
以前志保のおすすめのレストランに行ったらすごく美味しかった。…値段もすごかったけど。
「で、昼食を済ませたらとりあえずお母様の会社へ向かって…」
「ん?う、うん。それで?」
「会議室を貸し切って、今後のことについてしっかり話し合いましょう。ハルの家の借金返済についてとか、候補者の情報も事前に調べておきたいし」
「え?候補者の情報で信憑性のあるものなんてほとんどなくない?」
会社の一室を貸し切るなど本来なら驚くべきことだが、志保と一緒にいれば自ずと慣れる。それよりも候補者の情報というのが気になった。
「ふふっ、この私を誰だと思ってるの?内閣副大臣の娘よ?そんなの調べようと思えばいくらでも調べれるのよ!」
あ、そういえばそっか。志保は普通に喋ってても気品とかお嬢様らしさはあるけど、時々忘れそうになる。私は今、すごい人と喋ってるんだなぁ…。
「そもそも私が候補者に選ばれたのを発表前から知っていたのも、お父様から聞いたからだもの」
「なるほどね…」
ん?じゃあ何でクラスの皆んなは朝、由美香ちゃんと私が話してるのを聞いてざわついたんだろう?てっきり関係者にはもともと知らされるものだと思ってあの反応に納得してたんだけど…ま、そんなこと考えても仕方ないし、いっか。
「私は4時ぐらいまで話し合うつもりよ。重要な事だから時間取らなきゃ。まぁその後は早めに夕食にして、ゆっくりしながら夜までゲームでもしましょ!」
「いいね!久しぶりにマリカとかやりたいな〜」
昨日は不安で頭がいっぱいだったからゲームも全然楽しめなかったし、今日はめいっぱい遊びたい。
「じゃ、まだ11時まで時間あるし、テレビでも…」
「何言っているの?時間ないわよ?」
「え?出発は11時でしょ?」
「…あなたまさか、テキトーな服で行こうとしてる?GパンにTシャツとか」
「え?ダメ?」
「ダメに決まってるでしょ!!あなたもとは良いんだから、もっとオシャレしないともったいないわよ!」
「え〜…そんなことにお金使う方がもったいないよ」
「いいから!」
志保はそう言うや否や、指をパチンと鳴らした。するとどこにいたのか志保専属メイドの間田さんが出てきた。待機していたのかというほどのスピードだ。
「昨日話しておいた例のアレ、お願いね。本人が拒んでも最後までやり通すこと。いいわね?」
「かしこまりました。ハル様、さぁこちらへ」
「え?え…?」
私が状況を理解できずにオロオロしている間にも、間田さんは何かの準備を着々と進めている。な、なんかすごく嫌な予感がする…!
「…これから何するの?」
「ハル様が最も良く見える状態にしてほしいと、志保様からのご命令ですので」
私はしょっちゅう志保の家に遊びに・・というか泊まりに来ているため、間田さんともかなり仲が良くなった…けど、やっぱ主には逆らえないか。
「大人しくしていてくださいね。執事長!手を貸してください」
「わかりました。ハル様、落ち着いて下さい」
この初老の男性は執事長の冴木さん。冴木さんも間田さんと同じぐらい仲良くなったけど、こちらもやはり志保側のようだ。
「ちょっと志保!?ねぇ!」
いくら声をかけても志保はニヤニヤ笑うだけで、やはり助ける様子はない。こうして、私はなす術なく連行されていった。
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