第3話:原色弁当が救った心
私が勤めていた私設児童養護施設には、幼稚園から高校生まで20人が暮らしていた。
家庭の事情で親元を離れた彼らは愛情に飢え、心を閉ざし、親元から通う子どもたちとも衝突していた。
弁当の日、その差は残酷だった。
親元の子は彩り豊かな手作り弁当。
一方、施設の弁当は冷凍食品と白飯に梅干し一つ。
寮生たちは恥ずかしさから人目を避けて食べていた。
ある日、校長に同行して教室を訪れた新任の私と妻は、泣きながら弁当をつつく子どもたちを目にする。
胸を締めつけられた二人は、施設の食事を一新する決意を固めた。
それから毎食が手作りとなり、パエリアやイカ墨リゾット、
手作り副菜など鮮やかなLunch boxへと変わった。
戸惑っていた子どもたちも、次第にその味と誇りに心を動かされていく。
転機は老人会の催しだった。
真っ黒なイカ墨リゾットが注目を集め、全員が胸を張った。
「うちの調理師さん、レストランも経営していたんだ」
その一言が地域に広がり、子どもたちは初めて自分の弁当を堂々と開けた。
全て僭越ですが手前味噌の実話である。
エッセイ:茶色い惑星と原色の心弁当 @k-shirakawa
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