突然ノ再会

《御伽戦争学園校則其ノ一》放課後ノチャイムガ鳴ルマデ戦争ヲシナイコト。

と、いうわけで普通に授業である。現在は二時間目。数学をしている。絶対普通じゃない学校なのだからほら何かリアルにはあり得ない様な授業があって良いじゃないか。嫌だけど。でも普通の数学の授業だ。本当に普通の。

この前凛さんに貰ったリボンは俺の髪もちょっと長かったから、凛さんがリボンと一緒に編み込みをしてくれた。やはり、クラスのやつらも髪飾り付けてたり、ピアスとかネイルとかメッシュとか誰にでも青、青、青。いつか見飽きそうだな。と、考え事をしていたらチャイムが鳴った。


「はい、数学はここまでー。復習しとけよー。」


挨拶をした後、先生はさっさと出ていった。あれは担任の北村きたむら先生。名前は教えてくれなかった。ここの卒業生らしい。耳にピアスの痕があったのが見えた。

次の授業の準備をしてぼーっとしてたら、隣から急に「わっ!」っと大きな声で叫ばれた。


「しーみず!何ぼーっとしてんの?遊ぼうぜ!」

「否、後五分後に授業始まるし……」


コイツ、隣の席の綾目蓮あやめれん。青の首輪(ちょっとぶかぶか)をしている。初対面の人と話すの苦手だし、入学式から相手から話してくれる人多くて助かるって思ってたが、流石の俺でも疲れる。何よりも綾目は大型犬みたいにめちゃくちゃ懐いてくる。最初、俺が隣に座った途端に


「え!お前編み込みリボンかわいいじゃん!名前は?俺、蓮!仲良くしよーよ!ねぇねぇねぇ!!!」


と、こんな感じでずっと寄ってきたからもう諦めるしかなかった。

荒ぶる綾目を押さえつつ、次の授業の準備をして、亦代わり映えもしない授業を受けた。


そうして昼休み。またもや綾目がお昼に誘ってきたので、仕方がなく一緒に外へと出た。

この学園の敷地はもの凄く広い。街一つ分ぐらいある。学園はその中にあって、それ以外の土地は家族や関係者が住んでいる家があったり、病院やお店、銭湯、カフェなど普通に生活できるものがたくさん。昼休みは敷地の外へ出なければ普通にそこへお出かけが可能。今は綾目お薦めのラーメン屋に行くらしい。その道中。


「あれ、飛鳥くん!?」

「え、楓さん!?」


何と楓さんに遭遇した。前と違って赤の薔薇の髪飾りを付けている。すっかり鳩が豆鉄砲をくらった様な顔をして、固まっている。


「だれー?友達?彼女?」

「友達。入学式で会ったんだ」

「へー!おれ蓮!綾目蓮!」

「鏡楓です」


相変わらずの綾目の対応に流石の楓さんも動揺している様で、目線が定まっていない。だってそうだよな。明らか大型犬だもんな(身長は恐らく180cmを優に越えている)。


「飛鳥くんは大丈夫そう?」


楓さんは綾目の対応に苦笑いをしながらそう云った。楓さんは俺のリボンを一瞬だけ見て、それから俺の顔に視線を戻した。その目が、少しだけ揺れた気がした。


「うん、何とかやっていけてる。楓さんは?」


REDって大変そうだもんな、そう思いながら尋ねると、急に顔をしかめ何かを隠している様な素振りを見せた後、明らかに取り繕った笑顔で、


「うん!私、大丈夫だから!じゃあね!」


そう云って踵を返して行った。「待って!」と声を掛けてもやはり声は届かずすっかり姿が見えなくなってしまった。入学式のときはあんな顔じゃなかったのに。


「しみず、大丈夫かな。かえでちゃん」


大丈夫だよって返したいけど、心配が勝ってしまって下を向いてしまった。助けたいけど、隊が変われば助けれない。そんなむず痒さがある。楓さんにきっと何かあったんだ。あんなに格好良かったのに。


「まぁ、ラーメン行こうよ。」


なんとかなるから、と綾目は俺の背中を静かに押してくれた。

やっぱり、この学園は普通じゃない。俺の環境が特別だっただけで、きっと心が折れそうな事があるんだ。

俺もいつか、前楓さんがそうしてくれたように俺も楓さんの背中を押せる存在になりたいと、今日から始まるであろう戦争訓練、そして戦争本番へ想いを馳せながらラーメンを啜っていた。

ちなみにラーメンはめっちゃ美味しかった。

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