第24話 記憶

敵兵を容赦なく斬り伏せながら、セイカは前へ進んでいた。

剣を振るうたび、肉を裂く感触と鈍い手応えが腕に残る。


ふと周囲を見渡す。


そこには、もはや生と死の区別すら曖昧な光景が広がっていた。

踏み固められた地に転がる無数の亡骸。

味方も、敵も――名も知らぬ者たちの屍が、折り重なるように横たわっている。


(……ここは、地獄か)


胸の奥が軋むように痛んだ。

だが、立ち止まることは許されない。


(考えるな。

生き残るために、討ち取るのみだ)


そのとき、背後から張り詰めた声が飛んできた。


「殿!

あそこに見えるは-----ジーファの将軍、ザイファであります!」


セイカの視線が、一点に定まる。


(ザイファ……)


その名と同時に、遠い記憶が胸を刺した。

-----母リーシ。

あの優しく、美しかった母を殺した男、ダリン。

そして、その倅。


(因果、というものか)


セイカは、深く息を吐いた。

恐れも、迷いも、怒りさえも、すべて胸の奥に押し沈める。


剣を携えたまま、彼は歩き出した。


転がる死体の間を。

血に濡れた地を踏みしめながら。

斬り結ぶ兵たちの喧騒を背に。


ただ一人、標的へと向かって-----。


ザイファのもとへ。



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