第7話 城を襲う影

ケイシ不在の城内に、数人の怪しい男たちが忍び寄っていた。

彼らは、以前からリーシを我が物にしようと狙っていた、ジーファ国ダリン将軍の配下である。


守衛たちは次々と斬り倒され、城内に侵入された。

その直後、ダリン将軍本人も馬に跨り、城へと駆けつけた。


城内に視界に入る者は、女であろうと子であろうと、全て斬り伏せていく。


「将軍、リーシ様はこの部屋にいるかと思われます」


配下の声に、ダリンの胸は高鳴った。

そのまま扉を蹴破り、室内へと踏み込む。


「リーシ……」


中には、リーシと二人の子、セイカとユイ、そして侍女が一人だけ残されていた。


「リーシ様!ここは私が!」


短刀を握り、ダリンに立ち向かおうとする侍女に、リーシは静かに告げる。


「やめなさい、あなたまで傷ついてはいけません」


5歳のセイカは、果敢にも母と弟、侍女を守ろうとする。

その姿を一瞬で悟ったリーシは、深い覚悟を決めた。


「あなた様は、確かダリン将軍ですね……。

私は、あなたの言う通りに従います。ですから、どうか二人の子と侍女の命を助けてください。

その約束を守ってくださるのなら、私は何でもいたします」


ダリンは不敵に笑いながら答えた。


「うむ、ワシも男だ。約束は守ろう。お前さえ手に入れば、他はどうでもよい!」


セイカと侍女は縄で縛られ、泣き叫ぶ赤子ユイは床に寝かされる。


「行くぞ!」


ダリンがリーシを担ごうとした瞬間、リーシはセイカに向かって静かに告げた。


「よく聞いて、母様はあなたとユイを心から愛しています。

父様のことも心から愛しています。

それだけは、絶対に忘れないでください。わかりましたね?」


リーシの頬を、止めどなく涙が伝う。


「何をぐずぐず言っておる!行くぞ!」


リーシはダリンに担がれ、視界から消えた。

セイカは狂ったように泣き叫ぶ。


「母様!母様!父様!父様!助けて!」


侍女も必死に助けを呼ぶ。

まだ赤子だったユイだけは、状況も理解できず、ただオギャーオギャーと泣き続けていた。

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