幕間

『歴史的な発見から今日で20年が経過しました。人間も萌石になるというスキルの持ち主の発見により、私たち日本のダンジョン萌石産出国としての地位はさらに揺るぎないものとなり……』


悠莉ゆうり〜そろそろ行かないと間に合わないんじゃないのかい〜!?」


 テレビを見ていた青年は、母親の呼び声に反応してテレビを消す。


「わかってる」


 静かにそう言うと、仏壇の前に立った。そこにある写真の人物は悠莉の父、武智翔太朗だった。


「行ってくる、父さん。見ててくれ。今日から俺も……」


「悠莉〜!」


「行くってば!」


 今度は大声で返事をし、スーツの襟を正す。胸に輝くのは異界空間対策庁のバッジ。


「父さん、ようやくここまで来た。後は――どう死ぬかだけだ」


 悠莉は決して軽くはない、だが、同時に希望に向かって歩むような足取りで歩き出すのだった。

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