第6話悪役は騎士団長と仲良くするつもりはないそうです

外ではメイド達が荷物を一生懸命馬車に積んでいる。この領地から王都までは馬車を使っても

3日はかかるだろう。なので王都での用事が済めば

宿に泊まる事になるだろう。なので、馬車に積む物

が多いのだ。俺もそろそろ外に出るか。


「お前達、準備は出来たのかぁ?」

俺が外に出て声を出せば顔を真っ青にして頭を

下げてまだ終わってないですと謝罪をして来た。

人にやらせているのにこの態度は罪悪感が凄い。

だけど、いい加減この悪役の立場に慣れないとな。


「カスラ様、ではこちらの馬車に乗って下さい。」

メイドのアミュラが馬車の扉を開けて入る様に

促して来る。


「分かっている」

アミュラを睨んだ後中に入り扉を閉めようとしたら

勢い良く扉を掴まれてしまいました「うわっ」と

思わず声を出してしまった。


「アミュラ、何をして居るんだ?

手を離してくれないと扉を閉めれないだろ」

アミュラに手を退ける様に言えば首を横に振り


「いいえ、私も一緒の馬車に乗るんですよ?

後、ポルガフさんも乗りますから。

後、もう二人一緒に乗るので待って下さい」

はい?俺以外の人が居るのも初耳だしポルガフが

来るの何て聞いてないぞ!それに


「屋敷はどうするんだよ?

自分で言うのも何だがポルガフに結構仕事を任せて

いた筈だぞ。ポルガフが居なくて機能するのか?」

ポルガフが屋敷の管理をしていると言っても過言ではない。それにメイドや執事に仕事を振り分けているのもポルガフの筈だ。


「はい、それについては何の問題もございません。

こう言う時の為に二人程信頼出来る者が居ります」

信頼出来る者?そんな人物が居たのか。

だが、二人について行かれるのは面倒だ。

最近のポルガフやアミュラの行動は不自然だ。

予想が出来ない、意味なく部屋に来て挨拶だけして

仕事に戻ったり俺が部屋から出ればずっと数歩後を

ついて来たり何か企んでいる気がする。

俺を断罪する為の準備なのだろうがここで余計な事をされて王に勘違いされる様な事だけは避けたい。

だが、ここで同行を拒否すれば裏があると言っている様な物だ。同行は認めるしかない。


「それでポルガフは何処に居るんだ?」

周りを見たがポルガフが見当たらない。

同じ馬車に乗ると言っていたがまだ他のメイド達の手伝いでもしてるのだろうか。


「坊っちゃん、遅れて申し訳ございません。

残りの二人を探していたのです。」

本当に後二人居たのか。俺の様な貴族と同じ馬車は

苦痛でしかない筈だがアミュラが無理を言ったな?

それにしても二人共見ない顔だな?

同行するのは絶対に何か意味がある筈だが、この

二人は俺と同じか近い歳の様に思える。


「挨拶が遅れてすみませんです。

この短い期間ではありますが共に同行させて頂く

アイアノ・ウェルゲンでございます。

魔法適性は風、土です。」

そうして深くお辞儀をして来たのは

メガネをかけてピンク色のリボンで髪を結んだ

紫色の髪を肩下まで長く伸ばした女の子だった。

魔法がこの歳でもう使えるのか?

それは凄いな、俺にはあまり魔法の才はなかった。

だから、剣の素振りをしているのだがな。

俺が剣の素振りをしているのは少しは強くなった方が良いと思ったからだ、断罪される前にこの領地が

襲撃される可能性が0と言う訳ではないからな。


「我………ではなく私の名はガルギーノ・アルガーだ。私は一応このキモール領の騎士団を率いる

騎士団長であります。今回は自らの意思でカスラ殿の護衛に志願致しました!

この身が引き千切れたとしても貴方様だけは

無傷で帰すと誓います!」

次に声をかけて来たのは180以上はある長身の

真っ赤な髪で鎧を身に纏ったいかにも漫画やアニメで出て来る様な騎士だった。

それにしても何でこの人はこんなに目をキラキラ

させてるの?騎士ってこんな物なのだろうか?


「あぁ、よろ……………お、お前達!

しっかりこの俺を守れよ!む、き、ず、でだぞ!

この俺に何かあればお前達の首が飛ぶ事になるぞ!

後、馬車の中では俺に話かけるなよ!

俺の価値ある耳にお前達の様な者が発する雑音を

入れたくないからな!」

まじですみません!こんなに言うつもりじゃなかったんです!だけど、今の最高に悪役だったよな?

これなら、道中何の問題もなさそうだな。

そう思っていた時期が俺にもあった。

馬車を出してから数十分経過した。


「それで我が騎士団の者達を注意してほしいのだ!先程も言った様に最近の騎士団の雰囲気は緩み切っているのだ!騎士団の出番が無いのは良い事だが

訓練をサボって良い事にはならないとは思いませぬか?」

思いませぬよ?この騎士団長…………ずっと喋り続けるのだ。出発する前俺が何て言ったのか忘れたのか?ちなみにこの騎士団長は背が高すぎるのと肩幅が鎧をつけている事もあってかなり大きいので馬車には入れなかった。では、何処から喋りかけて来るのかって?それは


「いい加減黙れないのか?いつまで喋るつもりだ?

それと、どうしてわざわざ馬を馬車に近付けて

お前の騎士団の事を聞かせて来るんだよ?」

そうなのだ、この騎士団長は外で馬を走らせて

俺の乗っている馬車の護衛をしているのだ。

なのに………だ、俺にずっと喋りかけて来る。


「良いではありませぬかー!少しは我の無駄話に

付き合って下され!それでどう思われる?」

こいつ、さては俺の事嫌いだろ。

絶対嫌がらせだろ。騎士団の事は認知はしているが

行った事は1回しかないしそれだって誰にもバレない様にこっそり見に行っただけだ。

少ししか見ていないのにそんな事分かるか!


「言い訳ないだろ………一番最初に俺の耳に雑音を

入れるなと言った筈だ。…………………俺は騎士団

の内部はあまり知らないから何も言えないが

今の所訓練は休まず毎日やっているのだろう?

今は他国との戦争も起こっていないし他の領地と

比べれば比較的街の治安も悪くはない。

今までずっとこの領地の為に働いてくれたのだ。

少しは大目に見てやれ」

俺が雑音が入ると言えば急に騎士団長は真顔になって顔を下に下げていかにも落ち込んでますみたいな

素振りを見せるのだ。

それが本当か嘘かは分からないがそれでちっとも

気にしない程冷たい人間には成り切れない。

だって、流石に可哀想だろ。

今も俺の護衛をして貰って場の空気を少しでも

和ませ様としてるのに喋るなは可哀想だ。

だから、俺が騎士団長に自分の意見を言った。


「ッ」

そうしたら目を見開いて驚いた様な顔をしたが

直ぐに笑顔になって大笑いをし始めた。


「ガハハハハハハハハ!

そうですな!その通りです!我が間違っていましたぞ!」

遂に壊れたか?何がそんなに面白かったんだ?

それにそんな俺達の会話を聞いてずっとニコニコ

しているポルガフとアミュラも気になる。

何が面白いのか俺には分からなかったが

この世界の住人には面白かったのだろう。

それにこのアイアノと言う少女も首を縦に振り

納得したと言った感じに俺の方を見てくる。


「本当に声をかけられたくないなら自分の側に居ても良いなんて言いませんし反応して話しかける様な

事もしませんよ?」

隣でボソッとアミュラが何かを呟いた気がしたが

全て騎士団長の笑い声で消される。


「ガハハハハハハハハ!」


「うるせえ!」

後3日も耐えられねえよぉ!







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