新編『千夜一夜物語』第二百三十六夜の早朝 弐(そんな理由が!)


「二人の王は旅を続けて、海辺で休息を取ることにした。波の音が静かに響いて、月光が水面を照らす中、突然、海から轟音が上がって、でっかいジンが現れた。身長は10メートルを超えて、緑色の肌に赤い目が燃えてた。ジンは巨大な箱を持ってて、それを地面に置くと、蓋が開いて、中から絶世の美女が出てきた。透けるような薄布を纏って、豊満な乳房と丸い尻が布越しに浮かんで、長い金髪が風に揺れてた。ジンは彼女に『わいが眠る間、決して他の男に触れるな』って命じて、岩陰で眠りに落ちたんや」


 アミナの声が少し低くなって、私は「何やろ、この美女」とドキドキした。


「ジンが鼾をかき始めると、女は王はんとシャーザマーンに近づいて、誘うような笑みを浮かべた。『おお、麗しき王たちよ、わいを抱いてくれ』って囁いて、薄布を肩から滑らせた。乳房が月光に照らされて、硬くなった乳首が冷たい空気に震えて、秘部を隠す布はもう濡れて張り付いてた。兄弟は驚いて、『ジンに殺されるで!』って拒んだけど、女は笑って、『わいはジンに囚われてるけど、彼が眠るたび、男たちと交わってきた。もう百人の男の精を受けて、その証にこの指輪に名前を刻んだ』って、金の指輪を見せたんや」


「ええっ、そんなんありか!?」私は目を丸くしてアミナを見た。


「女は王はんの前に跪いて、ズボンを引き下ろして、すでに硬くなった男コンを掌で握った。熱い吐息を吹きかけて、舌先で先端を舐め上げると、王はんは低くうめいて、欲望に抗えへんかった。女は口に深く咥えて、喉を締め付けて上下に動いて、唾液が滴り落ちた。シャーザマーンも彼女の尻を掴んで、濡れた秘部に自分の男コンを突き立てた。女は喘ぎながら二人を同時に受け入れて、汗と体液が混じり合う淫らな交わりが続いた。終わると、女は笑って、『これで百二人目や』って指輪に印を刻んだんや」


「なんやそれ!ジンに守られてても裏切るんか!」私は膝を叩いて叫んだ。



「この三つの裏切り——愛する妻の奴隷との情事、弟の妻の乱交、ジンの女の淫蕩な誘惑——が王はんの心を粉々に砕いた。ジンの女が箱に戻ると、王はんは弟と顔を見合わせて、『わらが妻も、ジンに守られた女さえも、みな裏切って淫らに振る舞う。女はみな不実や』って吐き捨てた。シャーザマーンも頷いて、『心を癒す術はない』って呟いたんや」


 アミナは静かに目を閉じて続けた。


「帰国後、王はんは新たな決意を固めた。『女に裏切られる前に、こっちが先手を打つ』って宣言して、毎夜処女を娶って、一夜を共にした後に朝に首を刎ねる狂気の習慣を始めた。王はんは毎夜、新たな娘の柔肌を抱いて欲望を満たすけど、夜が明けると冷酷に首をちょんぱした。血が宮殿の床を染めて、娘たちの悲鳴が王国に響き渡った。この残忍な行為は、心の傷を埋めるためやなくて、女への憎悪を永遠に刻むための儀式やったんや」


「そ、そんな理由が…」私は呆然としてアミナを見た。



「この恐怖の連鎖が続いて、王国の若い娘たちが次々犠牲になる中、大臣の娘のあんた、シェヘラザードはんが立ち上がった。父さんに『わいが王妃になって、この狂気を止めます』って志願して、毎夜物語を語って王はんの心を掴み、首ちょんぱを遅らせる策略を立てた。ここからあんたの物語が始まったんや」


 アミナは私を見つめて静かに笑った。私は膝に顔を埋めて、「なんやて…そんな理由があったんか」と呟いた。頭の中がぐるぐるして、21世紀の投稿サイトでもこんな陰惨な話は書けへんわと思った。


「なぁ、アミナはん。そしたら、わいらが王はんの心を変えられる可能性はあるんか?」私は顔を上げて聞いた。


「そやなぁ、シェヘラザードはん。あんたの知恵と物語次第や。王はんの心は傷だらけやけど、完全に凍りついてるわけやない。あんたの話で、少しずつ溶かせるかもしれんで」とアミナは優しく言った。「そや、昔、私が王はんに仕えてた頃の話やけどな」とアミナは目を細めた。「王はんがまだ若くて、心が柔らかかった時、宮廷の踊り子が歌で王はんの涙を引いたことがあったんや。その時、王はんは『こんな美しいもんに心を動かされたのは初めてや』って呟いてた。あんたの物語が、そんな風に王はんの心に響けば、憎しみの鎧にヒビが入るかもしれん。せやけど、気ぃつけな。王はんの傷は深いから、一歩間違えたら逆効果やで」



 私はアミナに礼を言って、ハーレムの裏庭を出た。空がだんだん明るくなってきて、遠くで駱駝の鈴がチリンチリン鳴ってる。ドゥンヤザードがまだ寝てる間に、波止場の水夫に会って、昨日の「魚が王様に会う話」の続きを仕入れなあかん。王はんの女性不信の原因を知った今、もっと深い話を作って、彼の心に届くようにせなあかんわ。


「そやなぁ、魚が王様に会う話やろ?次は海の精霊が王はんに直接文句言うて、心を揺さぶる展開にしたらええかな。ドゥンヤザードの操も守らなあかんし、首ちょんぱも避けなあかん。ほんま、忙しいわ!」


 私は疲れた体を引きずりながら、街へ向かう準備を始めた。ウィキペディアも投稿サイトもないこの世界で、頭をフル回転させるしかない。こうして、私と妹の命がけの物語作りは、まだまだ続く。首を跳ねられへんように、今日も頑張るよ!



【第二百三十五夜 壱、弐】の登場人物


◯シェヘラザード:

大臣の娘で、サーサーン朝ペルシャのシャフリヤール王のハーレムに暮らす宮女。物語の語り手であり、毎夜王に面白い話を聞かせて命をつなぐ。妹ドゥンヤザードと共にネタ集めに奔走する。


◯ドゥンヤザード:

シェヘラザードの妹。ハーレムで姉の話に付き合い、王の興味を引く役割も担う。可愛らしい外見と純粋さが強調され、姉と共に首ちょんぱの危機に直面する。


◯シャフリヤール王

サーサーン朝ペルシャの王。女性不信から毎夜処女と結婚し翌朝処刑する狂気の習慣を持つ。シェヘラザードの話に興味を示しつつ、ドゥンヤザードにも手を出す欲望を見せる。


【第二百三十六夜の早朝 壱、弐(そんな理由が!)】の登場人物


◯アミナ

ハーレムの最古参の女性。白髪でシワ深い老婆だが、かつては美人だった。王の過去を知る人物として、シェヘラザードに陰惨なエピソードを語る。


◯王妃(シャフリヤールの妻)

アミナの回想内の人物。絶世の美女で、王に愛されていたが、奴隷との不貞行為が発覚し、王に殺される。第一の裏切りを引き起こす。


◯黒檀の肌を持つ奴隷

アミナの回想内の人物。王妃の愛人。庭園で王妃と情事を楽しむが、王に首を斬られ死亡。


◯シャーザマーン王

シャフリヤールの弟で、別の王国の王。アミナの回想内で登場。妻の裏切りを経験し、兄と共に女性不信に陥る。


◯シャーザマーンの妻

アミナの回想内の人物。夫の留守中に十人の男と乱交にふけり、シャーザマーンに全員殺される。第二の裏切りを引き起こす。


◯十人の奴隷と下僕

アミナの回想内の人物。シャーザマーンの妻と乱交に参加し、シャーザマーンに斬殺される。


◯ジン(魔神)

アミナの回想内の人物。巨大で緑色の肌を持つ超自然的存在。美女を囚えているが、眠ると彼女に裏切られる。


◯ジンの女(美女)

アミナの回想内の人物。ジンに囚われた絶世の美女。ジンが眠る間に百人以上の男と関係を持ち、シャフリヤールとシャーザマーンを誘惑する。第三の裏切りを象徴。

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