新編『千夜一夜物語』第二百三十六夜の早朝 壱(そんな理由が!)
おはようさん、私の名前はシェヘラザード。大臣の娘で、妹はドゥンヤザード。ササーン朝ペルシャのシャフリヤール王のハーレムに暮らす宮女や。昨日、二百三十五夜目をなんとか乗り切ったけど、ほんまに命がけやわ。首ちょんぱの恐怖と、ドゥンヤザードの操を守る戦いに朝から頭が痛いわ。21世紀の投稿サイトの締切よりキツいって、何度も言うてるけど、ほんまにそうなんやから!
今朝はまだ薄暗い時間、ハーレムの裏庭で翡翠色の噴水がチロチロ鳴ってる中、私はハーレムの最古参の女性、アミナに会いに行った。アミナはもう髪が白くなって、目尻に深いシワが刻まれたおばあちゃんやけど、昔は王の寵愛を受けた美人やったらしい。彼女なら、シャフリヤール王がなんでこんな女性不信に陥って、「き・む・す・め!、はい、首ちょんぱ」を始めたのか、その原因を知ってるはずや。なんせ、このまま千夜も続く話をでっち上げるには、王の心の闇を理解せなあかんしな。
「なぁ、アミナはん。王はんが女を憎むようになった理由、教えてくれへんか?」私は噴水の縁に座りながら、アミナに声をかけた。彼女は橙色の花を手に持って、ゆっくりとこっちを見上げてきた。
「シェヘラザードはんか。そやなぁ、あんたがそれを聞きたいのも分かるわ。あの王はんの心が歪んだ理由は陰惨でな。女だけのせいでもないし、男だけのせいでもない、数々の裏切りが重なった結果や」と、アミナは静かに語りだした。声が低くて、まるで昔の傷跡をなぞるみたいやった。
シャフリヤール王が女性不信に陥った原因
「シャフリヤール王はんは、サーサーン朝ペルシャの王として、黄金と絹に囲まれた宮殿で権力を振るってた。王妃は絶世の美女でな。黒檀みたいな髪が腰まで伸びて、薔薇色の唇が笑うたびに男を狂わす。肌は乳白色に輝いて、腰のくびれはまるで砂時計みたいに男の目を引く曲線やった。王はんはその王妃を溺愛してて、毎夜その豊満な体を抱いてた。汗と吐息が絡み合って、寝室の絹の帳が揺れるほど情熱的な夜を過ごしてたんや」
アミナは目を細めて、遠くを見るように続けた。私は「ほぉ、そんな幸せな時があったんや」と呟きながら、耳を傾けた。
「せやけど、その幸せは、ある旅の出来事で地獄に変わったんや」
第一の裏切り:王妃の不貞
「ある日、王はんは弟のシャーザマーン王を訪ねるために、長旅に出る準備をしてた。宮殿の大広間では、家臣たちが荷物をまとめ、馬に鞍を付けて、ドタバタしてた。王はんは最後に王妃に別れを告げようと寝室に戻ったけど、そこで忘れ物の剣を取りに庭園へ向かったんや。夕暮れの薔薇色の光が庭を染めて、噴水の水音が涼やかに響いてた。その時、王はんは低い呻き声と笑い声を聞いたんや」
アミナの声が少し震えて、私は「何やろ、それ」と身を乗り出した。
「木陰に目をやると、王妃が黒檀の肌した屈強な奴隷と絡み合ってた。薄絹のドレスが腰までたくし上げられて、白い太ももが夕陽に照らされて淫らに光ってる。奴隷の汗ばんだ手が王妃の乳房を鷲づかみにして、褐色の指が柔肉を揉み潰して、硬くなった乳首を摘んで引っ張ると、王妃は喉を反らせて『あぁ……もっと……』って喘いでた。奴隷の股間はもう剥き出しで、太くて脈打つ男コンが王妃の秘部に何度も突き刺さって、濡れた音が庭に響き渡ってた。王妃の黒髪が乱れて、汗と唾液で濡れた唇が奴隷の首筋に吸い付いて、腰が淫らに揺れて快楽を貪ってたんや」
私は「うわっ、なんやそれ!ひどいなぁ」と目を丸くした。アミナはため息をついて続けた。
「王はんの目は血走って、心臓が胸を突き破るみたいにドクドクした。愛する王妃が、粗野な奴隷に体を差し出して、夫の不在を嘲笑うように喘いでる。怒りと屈辱が王はんを焼き尽くして、腰の剣を抜いて二人の上に飛びかかった。王妃が気づいて『おお、王よ!』って叫んだけど、遅すぎた。剣が奴隷の首を一閃で切り裂いて、血が噴水みたいに噴き出して、王妃の白い肌を赤く染めた。悲鳴を上げる間もなく、王はんは剣を振り下ろして、王妃の豊満な胸を貫いた。血と汗が混じり合って、庭園の地面に二人の死体が転がった。王はんは息を荒げて、血まみれの手で剣を握りながら、その裏切りを脳裏に焼き付けたんや」
「ひぇ~、そら怖いわ。そんで王はん、どうなったん?」私は膝に顔を埋めそうになりながら聞いた。
第二の裏切り:シャーザマーンの妻の乱行
「放心状態の王はんは、弟のシャーザマーン王の王国へ旅を続けた。弟の宮殿に着くと、シャーザマーンは兄を歓迎して、豪華な宴を催した。けど、王はんの心は冷え切ってて、酒も女も楽しめへんかった。シャーザマーンは兄の様子に気づいて、『何でそんな顔してるんや?』って聞いた。王はんは庭園での出来事を涙ながらに語って、弟に同情を求めた。そしたら、シャーザマーンは顔を曇らせて、『わいも同じ苦しみを味わったんや』って告白したんや」
アミナの目が少し潤んで、私は「ええっ、弟もか!?」と驚いた。
「数日前、シャーザマーンが狩りに出かけてた時、彼の妻が宮殿で秘密の饗宴を開いてたんや。シャーザマーンが言うたんや。『わいの妻は、広間で十人の奴隷と下僕を招き入れて、酒と肉に溺れてた。裸に近い薄布を纏って、乳房を揺らして踊って、男たちの間に座ってた。奴隷の一人が妻の太ももに手を這わせて、秘部を弄ると、妻は笑いながら脚を開いて、他の男に乳房を吸わせた。やがて下僕が妻を床に押し倒して、汗と油にまみれた体で貫いた。妻は喘いで腰を振って、他の男たちが次々と群がった。口には男コンが押し込まれて、喉の奥まで咥えさせられて、涎が滴り落ちてた。わいが戻った時、その光景を見て、剣で全員を斬り殺した』って」
「なんやて!?そら酷すぎるわ。兄弟揃って裏切られたんか……」私は口を押えて呆然とした。
「王はんは弟の話を聞いて、二人の妻が同じように裏切った事実に震えた。『女はみな淫らで信用ならんものか』って呟いて、兄弟は慰め合ったけど、心の傷は癒えへんくて、深い絶望に沈んだんや」
「そしたらな、二人は宮殿のテラスで葡萄酒を手に持って、夜空を見上げながら語り合ったんや。星がキラキラ光る中、王はんが『シャーザマーン、もう女に心を預けるのはやめようや。裏切られるたび、心が抉られるだけや』って言うた。シャーザマーンは杯を握り潰す勢いで頷いて、『せやな、兄ちゃん。女はみな蛇や。甘い言葉で近づいて、毒を吐く。この傷を忘れへんためにも、もう信じへん』って答えた。二人は血の滴る杯を交わして、女への復讐を誓ったんや。この誓いが、後々の狂気を生む種になったんやで」
登場人物
【第二百三十五夜 壱、弐】の登場人物
◯シェヘラザード
大臣の娘で、サーサーン朝ペルシャのシャフリヤール王のハーレムに暮らす宮女。物語の語り手であり、毎夜王に面白い話を聞かせて命をつなぐ。妹ドゥンヤザードと共にネタ集めに奔走する。
◯ドゥンヤザード
シェヘラザードの妹。ハーレムで姉の話に付き合い、王の興味を引く役割も担う。可愛らしい外見と純粋さが強調され、姉と共に首ちょんぱの危機に直面する。
◯シャフリヤール王
サーサーン朝ペルシャの王。女性不信から毎夜処女と結婚し翌朝処刑する狂気の習慣を持つ。シェヘラザードの話に興味を示しつつ、ドゥンヤザードにも手を出す欲望を見せる。
【第二百三十六夜の早朝 壱、弐(そんな理由が!)】の登場人物
◯アミナ
ハーレムの最古参の女性。白髪でシワ深い老婆だが、かつては美人だった。王の過去を知る人物として、シェヘラザードに陰惨なエピソードを語る。
◯王妃(シャフリヤールの妻)
アミナの回想内の人物。絶世の美女で、王に愛されていたが、奴隷との不貞行為が発覚し、王に殺される。第一の裏切りを引き起こす。
◯黒檀の肌を持つ奴隷
アミナの回想内の人物。王妃の愛人。庭園で王妃と情事を楽しむが、王に首を斬られ死亡。
◯シャーザマーン王
シャフリヤールの弟で、別の王国の王。アミナの回想内で登場。妻の裏切りを経験し、兄と共に女性不信に陥る。
◯シャーザマーンの妻
アミナの回想内の人物。夫の留守中に十人の男と乱交にふけり、シャーザマーンに全員殺される。第二の裏切りを引き起こす。
◯十人の奴隷と下僕
アミナの回想内の人物。シャーザマーンの妻と乱交に参加し、シャーザマーンに斬殺される。
◯ジン(魔神)
アミナの回想内の人物。巨大で緑色の肌を持つ超自然的存在。美女を囚えているが、眠ると彼女に裏切られる。
◯ジンの女(美女)
アミナの回想内の人物。ジンに囚われた絶世の美女。ジンが眠る間に百人以上の男と関係を持ち、シャフリヤールとシャーザマーンを誘惑する。第三の裏切りを象徴。
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