エッセイ:瞼が痒いだけなのに、医療ドラマが始まった件。

@k-shirakawa

この半年間、瞼が痒かった。

ただそれだけなのに、私の人生はちょっとした医療ドラマになった。


夜も3時間しか眠れない。

瞼は常にムズムズ。

一昨夜は痒くてかきむしっていたみたい。

鏡を見て「誰だ、この腫れた人は」と思った。


昨年9月、通常受診のまずは眼科へ。

「点眼薬の影響かもしれません。瞼が痒いのです」と訴えるも、

女神先生は「ふむ」と言ったきり、処方なし。


昨年11月、その後の通常受診も「痒いですか?」と聞かれ「痒いです」と答えたのに、やっぱり処方なし。

このやりとり、まるで『痒みの禅問答』。


掛かり付けの眼科でダメならと12月8日に皮膚科へ。

「掛かり付けの眼科が薬を出してないなら、うちは塗り薬出せません」 とつれなく、アレルギーの飲み薬を1週間分ゲット。

結果? 痒みは微動だにせず。


市販薬にも手を出す。

イハダプリスクリート軟膏を塗ってみたが、瞼は「そんな軟膏じゃ効かないよ」と言わんばかりに痒みを主張。


もうダメだ……と白旗を振りかけたその時、

救世主が現れた。

持病で通っているT内科循環器科クリニックの院長先生だ。


診察室に入るなり、先生が言った。

「瞼、腫れてるけど?」


えっ、気づいてくれた!?

誰も触れてくれなかった瞼の異変に、ついに人類が反応した瞬間だった。


この一連の事情を説明すると、先生はこう言ってくれた。

「もう一度眼科に相談して薬を出してもらって下さい。ダメなら紹介状を頼んで大きな病院へ。それも断られたら、私が書いてあげますから心配しないで」


その言葉、まるで『医療界の親戚の従弟』。

安心感がすごい。


そしてその日の午後、眼科へ。

女院長先生ではなく『女神先生』の代診日しか行かない私、

診察前にスタッフさんに、

それもご丁寧にT内科循環器科の院長が言った言葉をオブラードに包んで書いた説明文を渡すというスゴ技のクワッドアクセル炸裂!・笑。


説明文は以下の通りだ。

12月8日 皮膚科受診 クラリチン錠 10㎎ 1週間分

12月12日 市販薬 イハダプリスクリート塗り薬

1月6日 内科受診 眼科に相談して、薬を出してくれなかったら他の眼科に紹介状を書いてもらう、それもダメだったら内科で紹介状を書いてくれるとの事


『瞼の痒みプレゼン』を実施。


診察でも同じ説明をしたところ、女神先生は少し困った顔。

そりゃそうだ。

皮膚科も内科も巻き込んでる瞼の痒み、もはや医療ミステリー。


それでも最終的に「ネオメドロールEE軟膏」を処方してくれた。

ありがとう、女神先生。

この薬が効いてくれますように。

(昨年の9月に出してくれてたら……という思いは、そっと胸にしまっておく)


ただし、女神先生からは「次回は院長の診察を受けてください」との指示。

うーん、女院長先生、ヒステリーが酷いので、かなり苦手なんだよな……。

転院、考えよっと……。


帰宅後、T内科循環器科クリニックさんに電話で経過報告。

院長先生はいつも通り優しく対応してくれた。

医療のことなら何でも相談できる、ありがたい存在。

先生に出会えたことに、心から感謝してます。


そして最後に——

ベニーちゃん!(Y医院の隣県で開院の院長先生のニックネーム・35年来の親友)

T院長先生を紹介してくれてありがとう!

君の紹介がなかったら、私は今も瞼を掻きむしっていたかもしれないからね。


◇◆◇


いつも思うのだが——医療機関とトラブルになると、なぜか『被害者は患者』という謎の構図が発動する。


しかも私の場合、医療トラブルは今回が初犯ではない。


そのうち『医療トラブル回顧録』として一冊の本が書けそうだ。

(タイトル案:『患者、今日も武器を持たずに戦場に立つ』)


医療ドラマなら、ここで主人公が颯爽と登場し、

「大丈夫、私がなんとかします!」

と助けてくれるところだが——


残念ながら現実世界には、


・勇ましいBGMも

・頼れる脚本家も

・視聴率を気にするプロデューサーも

存在しない。


あるのは、ただひたすら痒い瞼と、

「え、これ私がなんとかするの?」という現実だけである。


私が通っているこの眼科、2019年からの長〜い付き合いだ。

それまでは別の眼科に行っていたが、職場をかえたので、ここから始まった。


最近こそ2か月に1回の通院だが、コロナ前は3か月に1回。

つまり、私の『目の歴史書』はほぼこの眼科に全集巻揃っている。

……のだが。

コロナに入った途端、患者は十分の一ほどに激減。

しかし私の病気は、放置すれば失明一直線というハードモード。

何があっても通院し、点眼薬をもらわねばならない。

悲しいけれど、真面目に通院するしかないのだ。


そんな中、女院長から突然の

「レーザー治療しましょう」

の一言。

結果——

10万円以上がスットンと消えた。


まるで『医療版・一瞬で消えるマジックショー』である。

引田天功さんなら億万長者だから痛くも痒くもないだろうが、

私はしがない素人マジシャン。

拍手も喝采もないのに、財布だけが軽くなる——

そんな不思議なショーを体験した。


医療機関では、患者は言われるがままの捕虜状態。

「治療しましょう」と言われたら、

「はい……」としか言えない。

拒否権はあるはずなのに、なぜか空気的に存在しない。


そんなこんなで、私の『目の歴史書』はこの眼科に揃っているのだが、

その裏には、『涙と痒みと10万円の物語』がしっかり刻まれている。


それなのに——

ここへ来て「転院を考えねばならない」という衝撃展開。

どう考えても損をするのは患者サイド。

RPGで言えば、ラスボス前でセーブデータが吹っ飛んだようなものだ。


今までは黙っていたが、女院長の態度がまあ、ひどい。

『塩対応』どころか『岩塩対応』。

もはやミネラルの暴力である。


そのため私は、火曜の午後だけの『代診・女神先生タイム』を狙って通うようになっていた。

女神先生は優しく、説明も丁寧で、まさに癒しの存在。

と思っていたが、例の薬を出さなかったのが張本人だったから、結果的には女神ではないのだが。


そして先日の診察では、「白内障の手術も考えないと」と言われてしまう。

それは、私が辛くて通院した皮膚科と内科の報告をしたことへの腹いせに聞こえた。


そして診察後、女神先生から突然の宣告。

「次の診察は院長でお願いします」


……え?

あの女院長に?

それなら転院のほうが 精神ゲージの減りが少ない。

こうして私の心は、静かに転院ルートへと舵を切った。


とはいえ、私はネットで実名を出して批判するタイプではない。

炎上は料理だけで十分だ。

だからこの件は、そっとエッセイとしてカクヨム様に奉納することにした。


◇◆◇


本当のことを言えば、医療機関の口コミサイトに★五つのところ、

一つだけ付けてやりたい気持ちでいっぱいだ。


今回のエッセイはコミカルに描いたけれど、

正直なところ——

真面目に書いて公開したいぐらいの怒りなんだよねーダ!

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