厄介者が……
私は学校に着いて、朝の支度を終わらせると、3組のところに人だかりができていることに気づいた。
(あれ?今日も人だかりができてる。ん?今日はなんか女子が多いような気がする……)
不思議に思った私は、3組の人だかりのできている場所に行ってみた。
そこから聞こえてきたのはなぜか黄色い声ばかり。
「後藤くーん!」「夏樹くーん!」
たぶん同じ人のことを言ってるのかな。
その後藤夏樹って人が、ここの人だかりに向かってキッと睨むと、私をぬいた女子のみんながキャーキャー騒ぐ。
おっ、凄い。小学校のときにはない感覚。
周りの女子の黄色い声がうるさかったから自分のクラスに戻ろうとしたとき、
「おい、そこの女子止まれ。」
後藤さんが口を開いた。
私には関係ないと思い、そのまま自分のクラスへ戻ろうとしたけれど、案の定、私のところに来てしまったのだ。
「お前のことなんだが。」
「へっ?」
びっくりして固まる私。そんなことは知らんぷりされて話を続けられる。
「羽口琴菜、俺の彼女になれ、」
カノジョ……?
そこの部分だけゆっくり聞こえてしまう。
え、何?彼女?
こんななんにも知らない私に彼女?
無理!
流石に無理!とは言えないから、頑張って丁寧にお断りする。
「すいませんが、私は彼氏が欲しいわけでもなんでもないのでごめんなさい。」
(急に言われたって困るよ。私、好きな人だっているし……)
私は後藤さんにお辞儀をし、足早に自分の教室へと戻った。
「絶対誰にも渡さないからな。」
そして、その言葉は黄色い声に埋められ私に聞こえることはなかった。
__昼休み。
私と音々は、教室の隅っこでお昼ご飯を食べていた。
音々に朝の出来事を伝えると、
「なにそれ!?キュンキュンしちゃうんですけど!」
音々はこの展開にワクワクしちゃってるっぽい。
「いいな〜学年1のイケメンにそんな事言われて、こっちがドキドキしちゃいそう!」
「学年1のイケメン!?いや、よくそんな事言えるよね。こっちはめっちゃ怖かったっていうのに!」
(ま、あの人が学年1のイケメンなのは知らなかったけど。)
と思いながら一口、おにぎりを食べる。
「で、琴菜はokしたの?」
「してないよ!知らない人に言われてすぐいいよ〜……っていうのはない!」
「やっぱそうだよね!」
馬が合う私達。
「ってかさ、なんで琴菜に言われたんだろう。」
うむ。それは私も気になる。私の名前を知ってるのは怖いって
「おい、来てやったぞ。」
廊下から後藤さんの声が聞こえる。
私は、関わるのが後々面倒だと思い気づかないふりをする。
「おっ、来たじゃん。後藤くんが。言ってあげなよ〜」
これは流石に音々、私のことをいじってるな。
「いかないよ!」
少しキレ気味に言ってみたけれど、音々には効かなかった。
「はいはい。恥ずかしがってないで、さっさと行く!」
と言われ、音々が私の背中をドン!と押した。
「んん!?」
「来たな。羽口琴菜。」
にやりとした顔で私の手首を掴み廊下を走ってく。
「えっ、ちょっとまって!」
後藤さんは、人の目を気にせず足早にどんどん進んでいく。
「よし。ここなら誰もいないな。」
連れてこられた場所は、旧校舎の人の気配がない多目的教室だった。
「後藤さん。私に何か用ですか?」
体力のない私は、ゼエゼエと息を切らしながらキッと睨みつけるような目をして、後藤夏樹さんに聞く。
「俺、『さん』づけで呼ばれるの嫌いなんだよ。」
「……え、無理。」
「え、じゃあ俺は琴菜って言うわ。」
……?え、何?急に!?
というか、なんかこの声聞いたことあるような……
「やっぱり、昔と変わんないな。」
そういった後、夏樹くんが白い歯を見せて笑った。
(えっ、私って昔、後藤さんに会ったことってあったっけ?)
私はちょっと考え込んで見たけれど、思い当たるようなことはなかった。
そんなことをぐるぐると考え込んでいたからかだいぶ時間が経ってしまっていて、二人共話さない時間が続いていた。
そして、口火をきったのは後藤さんだった。
「あのさ、」
後藤さんがなにかを言おうとした途端、
キーン―コーン―カン―コン
と、チャイムの音がした。
「もう授業が始まるから行くね!」
といって、私は逃げるように多目的教室を飛び出した。
(ちょっと後藤さんに悪いことをしちゃったかな……ってか、敬語飛んでたし!)
自分のクラスにむかう途中、私はそんなことを考えてしまっていた。
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new me! いながわ みさ @me-ness_
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