第3話
次に立っていたのは、知らない街だった。
だが歩くうちに気づく。ここは「人形たちの街」だ。
棚に飾られ、遊ばれ、壊れ、捨てられた存在たちとぬいぐるみ、ブリキ、木彫り、陶器が落ちていた。
主人公は、ある家の前で立ち止まった。
窓辺に、胡桃割り人形の片腕が置かれている。
――自分が壊した、人形の右手。
家の中から、かすれた声が聞こえた。
「それがないと、立てないんだ」
中にいたのは、片足の胡桃割り人形だった。
自分と同じ姿。
いや、自分が「壊した側」だった存在。
「奪ったつもりはなかった」
そう言いかけて、言葉が止まる。
壊した時、無視して帰った。
それは、奪ったのと同じだった。
主人公は、静かに腕を差し出した。
「……返す」
その瞬間、胸の奥が軋んだ。
自分の右手の感覚が、薄れていく。
片腕を失ったまま、立ち尽くす主人公。
『――返すとは、失うことだ』
声が告げる。
『それでも返した。よい』
世界が崩れ、最後の試練へ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます