物語のための庭
やまおり亭
雷鳴の予兆
「俺は別に、誰に読まれなくったってよかったんだ」
カナリが唸る。遠くで低く響く雷鳴のような声だった。雷鳴と違っているのは、その直前に天を切り裂く稲光がなかったことだけ。
私は息をひそめ、とっさにその雷をやり過ごそうとした。けれど、カナリはまたも空気を震わせる。
「誰に読まれなくったっていい。ずっとそうして書いてきた。なのにいまさら、お前が現れるものだから」
いまさら。
いまさら――
こちらを睨む、濃い
雷鳴の前、天を切り裂く稲光は、本当に存在しなかったのだろうか。
私がその光に気づかなかっただけではなくて?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます