第14話 拒否できる者
王城・非公開会議室。
集まっている顔ぶれは、
第12話の時より
さらに重かった。
国王。
軍務大臣。
魔導院長。
鑑定官。
そして――
俺。
「率直に言おう」
国王が、
先に口を開いた。
「我々は、
君を
作戦に
同行させたい」
「常にだ」
逃げ道のない
言い方。
だが、
続く言葉が
違っていた。
「ただし、
命令ではない」
会議室が、
静まる。
軍務大臣が、
悔しそうに
歯を噛みしめる。
「……拒否権を、
認める」
はっきりと
そう言った。
俺は、
目を細める。
「理由を、
聞いても?」
鑑定官が、
答えた。
「強制した場合、
あなたの“作用”が
不安定になる可能性がある」
「つまり――
最悪、
世界が
あなたを
拒絶する」
魔導院長が、
続ける。
「因果に
干渉する存在は、
自発性が
前提条件」
「意思なき介入は、
補正ではなく
歪みになる」
難しい言葉だが、
意味は分かる。
俺が
納得して
そこにいなければ、
意味がない。
国王が、
深く頷いた。
「ゆえに、
君には
拒否できる権利がある」
「これは、
国家が
差し出す
最大限の譲歩だ」
俺は、
少しだけ
考える。
拒否権。
それは、
力よりも
重い。
「条件が、
二つあります」
全員が、
身構える。
「一つ」
「俺の同行は、
戦争の
拡大を
前提にしないこと」
「守るための作戦にしか、
関わりません」
軍務大臣が、
唸る。
だが、
反論はない。
「二つ」
「俺の存在を
公にしない」
「英雄に
仕立てないでください」
「それは、
俺の役割じゃない」
沈黙。
やがて、
国王が
微笑んだ。
「承諾する」
「君は、
表に出ない要として
扱おう」
「史書には、
名を残さない」
それは、
異例中の異例だ。
だが、
国王は続ける。
「だが、
我々は
忘れない」
「この世界が
壊れずに
在る理由を」
会議は、
それで終わった。
退室する時、
軍務大臣が
小さく言った。
「……君は、
剣より
恐ろしい」
俺は、
振り返らずに
答えた。
「違います」
「俺は、
壊さないだけです」
廊下を歩きながら、
思う。
かつて、
不要だと
切り捨てられた力。
今は、
世界が
その意思を
伺っている。
拒否できるということは、
支配されないということだ。
そして――
同時に。
責任からも、
逃げられない。
均衡を保つ者は、
自分で
立ち位置を
選ばなければならない。
それが、
最強の
代償だった。
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