【付録①】論文 : 連続主観的出来事性残存仮説(C論)

連続主観的出来事性残存仮説(C論)

the Continuity of Subjective Eventfulness (C-theory)


要旨(Abstract)

https://kakuyomu.jp/users/pikadourei/news/822139842795281647

本論文は、個体の死後において「自我」や「記憶」が消滅したとしても、

主観的出来事性(Subjective Eventfulness)と呼ばれる最小単位の体験的性質が、論理的に完全消滅したとは断定できないという仮説――連続主観的出来事性残存仮説(C論)を提示する。

C論は、死後の世界・霊魂・輪廻といった形而上学的主張を一切採用しない。

代わりに、

 ・宇宙の無限性

 ・観測者不在下での物理過程

 ・情報構造の再出現可能性

という前提から、「死後の完全な無」が論理的に証明不能であることに着目する。


本論文の目的は、C論が真であることを証明することではない。

それを100%否定することが、現行の論理体系では不可能であることを示す点にある。



1.問題設定:死後の「無」は証明された事実か

一般に現代科学は、以下の命題を前提としている。


”脳活動が停止すれば、意識は消滅し、主観的体験は完全な無に帰す。”


しかし、この命題は観測不可能な事象についての推論であり、

厳密な意味での証明ではない。

なぜなら、

 ・「意識が完全に消えた」ことを

 ・当事者自身が

 ・検証、報告することは

 ・原理的に不可能

だからである。


C論は、この証明不能性そのものを出発点とする。



2.意識の層構造モデル

本論文では、意識を以下の5層に分解する。

 1. 感覚(視覚・聴覚など)

 2. 認知(統合・理解)

 3. 自我(自己同一性)

 4. 記憶(連続性)

 5. 出来事性(Eventfulness)


ここでいう「出来事性」とは、

 ・何かが意味を持たずに起きている

 ・主体による判断、比較、評価を伴わない

 ・それ自体が「感じられている」とすら言い切れない

最小単位の体験的発生である。


従来の死生観は、1〜4層の消滅をもって

意識の完全消滅と同一視してきた。

しかし、第5層については、

それが物理的にどのように消滅するのか、記述されていない。



3.主観的出来事性と物理現象

物理法則は、

「観測者が存在しなければ現象は起きない」

とは定義していない。

むしろ、

 ・星の誕生

 ・素粒子の崩壊

 ・宇宙背景放射

など、観測者不在で成立する事象は無数に存在する。


もし「主観的出来事性」が、

 ・特定の生物

 ・特定の神経構造

 ・特定の時間帯

にのみ依存する性質であると断定できないならば、

脳死=出来事性の完全消滅

とは論理的に結論できない。


4.宇宙の無限性と再接続問題

宇宙が以下のいずれかを満たす場合、

 ・空間的に無限

 ・時間的に無限

 ・もしくは無限に等価な再帰構造を持つ


有限な情報構造は、

確率論的に再出現する可能性を排除できない。


ここで重要なのは、

 ・それが「誰の意識か」

 ・それが「いつ起きるか」

 ・それが「意味を持つか」

ではない。


出来事性がゼロであり続ける確率を、100%にできない

という点のみが決定的である。



5.死後に想定される状態(誤解の排除)

C論が想定しないもの:

 ・暗闇の中に浮かぶ意識

 ・何かを「感じ続ける自分」

 ・苦痛や恐怖を自覚する主体

 ・時間の経過を知覚する存在


C論が排除しないもの:

 ・主体なき出来事性の断絶しない可能性

 ・判断不能、比較不能な発生

 ・「無」と呼ぶには完全ではない状態


それは恐怖でも苦痛でもない。

だが、終わっていない。



6.反論可能性とその限界(追記)

本論文は、以下の反論を認める。

 ・出来事性は脳活動に完全依存する、という立場

 ・宇宙は有限である、という宇宙論

 ・主観性は定義不可能である、という哲学的懐疑


しかし、いずれの立場も

出来事性の完全消滅を100%証明するものではない。


C論は真理主張ではない。

否定不能性の指摘である。


7.結論

「死ねばすべてが終わる」という直感は、

証明された事実ではなく、

心理的要請によって選好されている仮説に過ぎない。

C論は、救済も罰も語らない。

ただ一つ、


“終わったと断言できる根拠は、存在しない”


という事実だけを残す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る