第7話 懲罰兵のレンドル
騎士団本部に向かう途中、ブルード教官から、簡単な説明を受けていた。
レンドルは頭を抱えていた。
全く理解できなかったわけではない。
それでも、なぜ自分なのかという葛藤が、彼を苦しめていた。
団長室に連行されたレンドルは、木製のテーブルの向かいに座る、武骨な雰囲気の男と対面していた。
鉄木の高背椅子に腰を下ろした壮年の男を、レンドルも良く知っていた。
サンガード皇国騎士団長グリフォート・サザンランド公爵、その人だ。
レンドルは直立不動に、両手を後ろに手を組んでいた。
明日のルベリア王国遠征の準備で忙しいはずだが、合間を縫ってグリフォートは団長室で待っていた。
部屋に案内されたレンドルに、団長は簡単な自己紹介をした。
一呼吸したのち、では、と始めた。
「最前線だ、騎士レンドル」
「受任の意思も任命式もしてません……それに訓練生です!」
レンドルはだれが見ても泣きそうな顔だったが、思いのほか大声が出てしまった。
眉間にしわを寄せながら、頭をガクッとさせた。
そして大きく息を吸い込んで、二人の爵位持ちの男たちを見た。
全く意に介さないが、グリフォートは大声を出したレンドルを軽くたしなめた。
「そう、声を荒げるな、それに十三歳で叙任している」
「すみません……。それは身分の保証です、父は騎士爵ですから」
「しかし、皇妃様のご通達でな、異例だが今日任命式を執り行う」
「何が何だが、全くわかりません……」
「うむ、私も分からん、が命令なのだ」
「断れないのですか」
「叙任騎士、正規訓練兵、皇妃様ご指名、父君は爵位持ち、残念だが無理だ」
「なんで……」
「それに、父君から相当の剣技を叩き込まれている、ブルードも褒めていたぞ」
「……先日も全く歯が立ちませんでしたよ」
「だが、君は加護を得た」
「ブルード教官も加護持ちです、最前線でのご活躍を期待できます」
「すでに引退していたのを、無理をいって戦闘教導になってもらっている」
レンドルが答えると、すぐさま団長が返答を返す。
日ごろから団員とのやりとりも、きっとこんな感じなんだろうか、とレンドルは思った。
「初陣が最前線だなんて」
「父君からも了承を得ている」
「まだ死にたくありません」
「騎士法では、加護を得たものは、責任ある立場になってもらわねばならぬからな。
兵役についているものは騎士に任命してもよいことになっている」
一体どこでそんな話があったのか、記憶をたどったが、何も出てこなかった。
「......初めて聞きました」
「勉強が足らんな。成績優秀と聞いていたが?」
「......騎士法は次の教育課程で学びます」
「加護は国で管理しているのだ。勝手気ままに出来ると思うかね」
「なんてことだ……」
「拒否するなら、レンドル・ブレイズの騎士身分は剥奪となる」
「え!?」
兵科教導はしっかり学んできたが、騎士法はまったくの手つかず。
身分剥奪についても、父から聞いたことも、教科で話してもらったこともなかった。
「それと君の保証人である父君は、騎士爵だ。爵位は剥奪となる」
「そんな、ばかな!」
「証紋官の契約だ。偽証はだめだ、書類に署名している」
「あの時の......全部は読んでられません。十枚もあったんですよ!」
「証紋契約とは、そういうものだ」
「そんな……」
「では、保証人のファレン・ブレイズは、証人台に立ち、正式な裁判となる。
訓練兵レンドルは雷の神レイナダの裁定を待て。下がってよい」
「まってください!」
このままでは、父親に迷惑どころの話ではない。
レンドルの胸に、悲しみよりも先に焦りが生じた。
「あぁ、それと民間人への恫喝はいかんな」
「くそっ、行けばいいんでしょ!」
「うむ」
グリフォートは短く頷いたあと、ブルードに目を配った。
話は終わったから、任命式の準備をしろと合図を送った。
この二人は何年と長い付き合いがあり、やるべきことが分かっているので、言葉は不要であった。
「では、最前線だ。くそ優秀な懲罰兵レンドル」
世界がバグすぎて1000年生きれない!~エルフのデバッガーだけど、チートもないよ、狼強すぎ!~ 四十早 @yosohaya
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