救済

「美澄先輩。今日のお弁当も美味しいです。特にこのササミにかかってるタレが美味しくて〜」


 まるでグルメ番組のリポーターくらいに感想を言ってくれる。


「ふふっ。相変わらずありがとう。本当に嬉しい」


「いえ、こんな美味しいお弁当を作って貰ったんだから、感謝して食べるのは当たり前ですよ!!」


 あれから、爽香ちゃんと付き合う事になったけど、結構距離感はいつも通り、だ。


 お昼食べるのも、遊びに行くのも、お家デートするのは緊張したけれども、どれも全部あんまり変わってない。


 でも、爽香ちゃんに出会って変わったのは、もう大地くんが好きだと言ったおさげの髪型は辞めた。


 コンタクトは……その、まだ慣れなかったので、やはり眼鏡が私の相棒だ。


 まぁ、爽香ちゃんは眼鏡掛けてても可愛いと褒めてくれるから、良いけど。


「ねぇ、美澄先輩」


「ん? 何、爽香ちゃ……」


 ちゅっと唇に柔らかい感触。


「え、」


「美澄先輩。そろそろキスしたいからしました」


 小悪魔的な顔で笑う爽香ちゃん。うん。すっごくドキッと来た。


 それに全然嫌じゃなかった。それはきっと、相手が爽香ちゃんだからだろう。


「ですから、その……私、これから美澄先輩に手を出していきますね」


 あの日と同じ。木漏れ日に照らされて、笑う彼女は、あの日と同じだけど今は違う。私を失恋の傷みから救ってくれた女神様だった。

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負けヒロインに救済を。 村雨 @kagtra423

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