告白

「美澄先輩。大好きで〜す。誘ってくれてありがとうございます!」


 あれから、相変わらずよく爽香ちゃんと遊んだり、お昼を食べたりと時間が過ぎていった。


 そのお陰かすっかり大地くんとの失恋も思い出に代わり、爽香ちゃんと一緒に居るのが心地良くなった。


 ちなみに今は爽香ちゃんに遊びに誘われてばかりなので、今日は私が好きなカフェに誘った。


「ここのカフェ、落ち着く空間してますね。美澄先輩のオススメカフェ、教えてくれて嬉しいです」


 ニコニコといつもの人懐っこい陽だまりのような笑顔で私に向ける。


 初めの頃はこの笑顔に戸惑っていたけども、今はそうじゃない。見ていて安心する笑顔だ。


 パフェを頼んで食べて、それから色々と最近楽しかった話をする。


 爽香ちゃんは友達と楽しかった時とか私との時間が好きだとか、色々話してくれた。


「最近、新しいカフェの開拓もしたかったので、今日は美澄先輩が教えてくれたカフェに行けて良かったです」


「そっか。良かった。喜んでくれて」


 カフェからも出たので、そろそろ解散かな。


「ねぇ、先輩。まだ、時間ありますか?」


「え、うん。あるよ」


「それなら、……ちょっとそこの公園に行きませんか?」


 爽香ちゃんはいつもの陽だまりの笑顔じゃなくて少し何処か緊張したような表情だった。








「はー。ここの公園、なんか好きなんですよね〜」


 そう言って、爽香ちゃんは公園の自販機でミルクティーを買う。


 私もついつい釣られて、同じミルクティーを買った。


「あの、先輩」


「うん?」


「私が……その、」


 いつもきっぱりと言う爽香ちゃんにしては珍しい。歯切れが悪い。


「私が、美澄先輩の事を好きだと言ったら、どうしますか?」


「え、」


 急な爽香ちゃんの発言に驚く。だって、それは、爽香ちゃんはずっと。


「やっぱり、はっきり言いますね。……好きです。美澄先輩」


 いや、やばい。かなりの衝撃だ。それこそ、一発ぶん殴られた様な衝撃。


「先輩が私にお弁当くれた日から、その、きっかけはアレでしたが、一目惚れ、だったんです。それに私の事、考えてお弁当作ってくれたり、遊びに行く度に、どんどん美澄先輩を好きになりました。だから、私と付き合ってください」


 や、畳み掛け。凄い威力。じゃなくて、よく考えろ。私。


 爽香ちゃんは私にとって唯一の学校の友達であり、可愛い後輩で……一緒に居て居心地の良い人。


 これは大地くんの時には感じなかった事で、爽香ちゃんは一緒に居ても、無言が苦じゃないし、あの時、水族館で抱き締められた時も爽香ちゃんのお陰で失恋を過去に出来た。全部爽香ちゃんのお陰で今がある。


 いや、アレ。……待って、私ってかなり……。


「あの……美澄先輩。その、やっぱり、嫌、ですよね。同性に告白されるの……。あの、やっぱり失礼します!!」


「え、爽香ちゃん!?」


 私がずっと黙ってた事が耐えられなかったのか、公園から走り出す爽香ちゃん。


 そんな爽香ちゃんを私は慌てて追い掛ける。


「待って!! 爽香ちゃん!!」


 爽香ちゃんを追うも、私と違って運動も得意そうな爽香ちゃんはどんどん見えなくなる。


「爽香ちゃん! ……あ、」


 ドサッと躓いて、勢い良く転ぶ。あまりの痛さに、普通に悶絶する。 


「……いったぁ」


 私、何やってるんだろ。爽香ちゃんには大事な事を伝えられてないし、綺麗にズッコケるし、後、かなり痛いし。 


「美澄先輩!!」


「え、……爽香ちゃん?」


 爽香ちゃんは慌てて、引き返したみたいで、息が荒い。


「はぁ……はぁ。大丈夫ですか?」


 息を整えつつも、私をさっきの公園までおんぶしてくれて、流水で傷を洗ってから、ベンチに座らせて貰い、爽香ちゃんが持っていた可愛らしいペンギンの絆創膏を貼ってくれた。


「ありがとう。爽香ちゃん」


「いえ、その……走ってたら、私を追ってた筈の美澄先輩が直ぐに見えなくなってて、ちょっと心配になって戻ってみたら、先輩がコケてて……その、ごめんなさい」


「なんで、爽香ちゃんが謝るの? 返事をグズグズしてた私が悪いのに」


 元はと言えば、考え過ぎた私が悪い。答えなんて分かりきっていたのに。


「美澄先輩……」 


「あのね。爽香ちゃん。私、爽香ちゃんが水族館で言ってくれた言葉も、行動も、全部嬉しくてね。それに爽香ちゃんの隣って居心地が良いんだよ」


「え、……」


「爽香ちゃんと一緒なら、その……無言も苦じゃないし、大地くんの時は無言がキツくて変な事よく口走ってた。だけど、本当に爽香ちゃんの時はそんな事がないんだよ。自然体の私で居られる」


「自然体……」


「うん。私、無理しないで一緒に居れるし、爽香ちゃんと居ると毎日が楽しいんだ。だから、その……言うね」 


「は、はい」


 言葉にするのは緊張する。でも、これは爽香ちゃんも私と同じだ。私以上に緊張してた筈だ。


「私も爽香ちゃんの事が好き。隣に居るのが爽香ちゃんじゃないと嫌だな、って思うくらいに好きなんだよ」


「美澄先輩!!」


 感極まった爽香ちゃん。泣きながら、私を強く抱き締める。


「先輩、好きです」


「うん。私も好き」


「好きです好きです好きです。私と一緒にいっぱい思い出作りましょうね」


 確かめるように抱き締めて、泣きながら笑う陽だまりの様な彼女は、本当に眩しいくらいの愛らしい私の彼女だ。

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