【澪視点・短編: 『海の向こうで、君を見ている』】
海は、
静かだった。
ここには、
痛みも、息苦しさもない。
それでも、
私は覚えている。
朝比奈くんの、
少し困った笑顔。
「大丈夫?」って、
いつも私のほうが聞いてたね。
——本当は、
私のほうが支えられてたのに。
時間は、
不思議。
離れてしまうと、
全部が優しくなる。
苦しかった日も、
怖かった夜も、
ちゃんと、
愛しかった。
私は、
約束をした。
「幸せになってね」って。
でも、
あれは少し、ずるかったかもしれない。
だって、
幸せになるには、
私がいない世界を
生きなきゃいけないんだから。
それでも。
君は泣いて、
迷って、
それでも歩いた。
——偉いね。
結城さんのこと、
ちゃんと見てたよ。
代わりじゃない。
奪わない人。
君が、
前を向くための隣に、
立てる人。
それでいい。
それがいい。
私は、
もう海の向こうだから。
最後にひとつだけ。
ありがとう。
私を、
ちゃんと好きでいてくれて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます