【エピローグ:それぞれの、その後】
紗良の場合
紗良は、
新しい街にいた。
大きな決断じゃない。
転職して、
少し環境を変えただけ。
でも、
それだけで、
空気は驚くほど軽くなった。
休日、
小さな花屋に立ち寄る。
「この花、
なんて名前ですか?」
店員が、
笑って教えてくれる。
紗良は、
その笑顔に、
ふと気づく。
——あ、私、
ちゃんと笑ってる。
恋は、
すぐには始まらない。
でも、
焦らない。
「ちゃんと好きだった」
そう言える過去が、
胸にあるから。
夜、
スマホに届いた一通のメッセージ。
『元気?』
朝比奈からだった。
短く返す。
『元気。
そっちは?』
『うん。
ちゃんと、生きてる』
それだけで、
十分だった。
紗良は、
画面を伏せて、
窓を開ける。
風が、
優しい。
「……幸せだな」
小さく、
そう呟いた。
約束は、
守られなかったわけじゃない。
形を変えて、
続いている。
さよならのあとで、
思い出したのは、
未来だった。
——涙よりも遅く、
君は胸に帰ってきた。
そして、
それぞれの人生は、
静かに前へ進んでいく。
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