【第四章:再会は、傷口を開く】

数日後。


朝比奈は、

紗良と再会した。


カフェの窓際。

午後の柔らかい光。


「久しぶり」


「……大人になったね」


紗良は、

自嘲気味に笑った。


「なったよ。

 なりたくなくても」


彼女は、

最近別れた恋人の話をした。


最初は優しくて、

気遣いもできて、

理想的だったこと。


「でもね、

 数日で分かった」


カップを握る指に、

力が入る。


「人を下に見る。

 平気で嘘つく。

 私の気持ちなんて、

 どうでもいい顔してた」


朝比奈は、

何も言えなかった。


「……ねえ、朝比奈」


紗良は、

真っ直ぐ見つめてくる。


「私、

 あんたのこと、

 ずっと嫌いじゃなかった」


胸が、

小さく波打つ。


「今なら、

 ちゃんと好きになれると思った」


沈黙。


朝比奈は、

正直に言う。


「……似てる人がいる」


それだけで、

紗良は察した。


「澪に?」


朝比奈は、

頷いた。


紗良は、

少し目を伏せてから、

静かに言った。


「……まだ、終わってなかったんだね」


その言葉が、

一番痛かった。

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