第10話 連載順位という名の処刑装置
連載順位は、
数字だ。
だが編集部では、
それは刃物として扱われている。
週明け。
編集部の壁に貼り出される、最新の連載順位。
1位:ニューワイフ・エッチ
2位:王道その②
3位:王道その③
・
・
・
圏外:おにぎりマン
空気が、死んだ。
誰も声を出さない。
コピー機の音だけがやけに大きい。
編集長は、
壁の順位表を見つめたまま、動かない。
「……来たか」
その頃、作中世界。
おにぎりマンは、
なぜか突然、胸を押さえた。
「……なんだ?
今、読者が一人、減った気がした」
パイラント
「気のせいだろ」
おにぎりマン
「いや……これは……
“応援コメントが『様子見』に変わった感覚”……」
その瞬間。
空が割れた。
巨大なモニターが、
世界の上空に出現する。
《現在の連載順位を更新します》
ムリス
「……は?」
フジキちゃーん
「やだ♡なにこれ、こわ♡」
《おにぎりマン》
順位:圏外
《処刑ゲージ:10%》
おにぎりマン
「……え?」
パイラント
「……処刑?」
次の瞬間。
おにぎりマンの体が、
1話分だけ透けた。
「うわっ!?
今、俺の過去回想、消えかけた!?」
編集部。
編集長は、
エッチの言葉を思い出していた。
「終わらせる“権利”です」
「読者も作者も、文句を言えない形で」
机の上には、
新しいシステム導入書類。
《連載順位連動型ストーリー整理機構》
通称――
処刑装置。
再び作中世界。
《順位低下により、次の要素が削除されます》
必殺技の名前
ライバルの因縁
意味深な伏線(未回収)
おにぎりマン
「待て待て待て!!
それ俺の“頑張ってる感”じゃん!!」
必殺技が
「おにぎりパンチ」
に戻った。
パイラント
「……弱体化してるぞ」
おにぎりマン
「くそっ……
読者コメント欄!!
誰か!!
『熱い』って言ってくれ!!」
だが、コメント欄は静かだった。
「様子見」
「嫌いじゃないけど今後次第」
「作者の精神が心配」
その一言一言が、
刃になって刺さる。
《処刑ゲージ:45%》
フジキちゃーんが、
画面を睨みつける。
「……ムカつく」
「順位で殺すとか、
いちばんダサいじゃん」
目を光らせる。
「苦情無理処」
だが――
効かない。
《この装置は“人気”にのみ反応します》
フジキちゃーん
「は?」
編集部。
エッチは、
自分の順位を確認する。
1位:安定
編集長が震える声で言う。
「……本当に、
終わるのか……」
エッチは答えない。
ただ、
次の原稿のタイトルを書いた。
『役目を終えた英雄』
作中世界。
《処刑ゲージ:70%》
おにぎりマンの影が、
薄くなる。
「……なあ……」
「俺……
面白く、なかったのかな……」
パイラント
「……」
ムリス
「……」
誰も、答えられない。
空に、
最後の表示が出る。
《最終判定まで、あと1週》
ナレーション(無慈悲)
連載順位は、
人気投票ではない。
生存確認である。
――次回
「最終判定:打ち切り」
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