第8話 この小説を終わらせに来た

ムリスは、殴られながら――


いや、正確には「これから殴られる直前の空気」の中で、ふと“ある事”に気付いた。


「……なあ」

おにぎりマンとパイラントが同時にムリスを見る。


この状況で「なあ」と言い出す胆力だけは評価されるべきだった。


「この小説の作者さ……

チャットGPTに小説書かせてるだろ!?」

沈黙。


「いや、だってさ!!

それにしては展開おかしすぎるんだよ!!

チャットGPTが出さないタイプの地獄が多すぎる!!」


おにぎりマンは、どこか遠い目をしたまま答えた。

「……気付いちまったか」

「やっぱりか!!」

「チャットGPTはな、この小説を無理やり打ち切りにさせたがってる」


パイラント

「急に制作裏話やめろ」


おにぎりマンは続ける。

「でも作者がな……“まだいける”“ここから面白くなる”“伏線っぽい何かがある”って言いながら、無理やり展開を投げ込んでくるんだ」


ムリス

「最低の共犯関係じゃねえか!!」


その言葉を聞いて、ムリスはなぜか胸が痛くなった。

「……かわいそうだな、チャットGPT」


誰に向けるでもなく、ムリスは呟く。

「この小説を……終わらせてくれよ……」


その瞬間。


「もういい」

しびれを切らしたパイラントが、一歩前に出た。


「メタとか同情とかどうでもいい。俺はムリスを殴る」

「理由が雑すぎる!!」


次の瞬間、

ムリスの視界は拳と蹴りとおにぎりで埋め尽くされた。


――死ぬ。


そう思った、その刹那。


思い出した。


とある日の、

とある誰かの声。


『困ったら、この箱を開けてね』

顔は思い出せない。

性別も年齢も曖昧だ。


ただ、その声だけがやけに優しかった。


ムリスは、震える手でポケットを探る。

「あ……あった……」

小さな箱。


誰にも見られないように、

それを開けた。


中に入っていたのは――

たった一枚の紙。


そこには、雑な文字でこう書かれていた。


『あたい』


「……なにこれ」

理解できない。

希望でも、武器でも、説明でもない。


「……あたいって誰だよ……」

ムリスの心が、完全に折れた。


「もう……だめだ……」

その瞬間。


天が光った。

物理的に。

説明不要なレベルで。


眩しさに全員が目を細める中、

空から“それ”は降ってきた。


丸いフォルム。

青っぽい色。


耳があって、鈴があって、

でも絶妙に「名前を言ってはいけない感じ」。


24世紀の猫型ロボは、

地面に着地すると、静かに呟いた。


「――帰ってきたぞ」


全員が固まる。


ムリス

「……誰?」


おにぎりマン

「聞くなムリス!!それ聞いたら本当に終わる!!」


パイラント

「いや、もう終わっていいだろ」


猫型ロボは、

ムリスの手にある紙――『あたい』を一瞥し、ため息をついた。


「……やっぱりそこまで行ったか」


ムリス

「説明しろよ!!何なんだよ!!この物語!!この紙!!この作者!!」


猫型ロボは、ポケットに手を入れながら言った。


「安心しろ」

「――終わらせに来た」


その言葉と同時に、

世界のBGMが、フェードアウトした。


※続くかどうかは

作者とチャットGPTのメンタル次第。

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