第7話 すべてはムリスのせい(たぶん)

おにぎりマンは、

地面に仰向けになりながら、

天井のない空を見つめていた。


「……思い出した」

蒸気が、

ゆっくりと消えていく。

「……なんで、俺がこんな目に遭ってるのか……」


パイラントは、

腕を組んで黙って聞いている。


「そう……あの時だ」

――洋館。

――窓。

――助けを求める声。


「もしも……あの時、窓から見てたムリスが……」

拳を握る。

「助けてくれてたら……俺は……自爆もしなかったし……風呂にも飛ばされなかった……」

完全に逆恨みだった。


おにぎりマンは、

勢いのまま言い切る。

「――全部の黒幕は、ムリスだ」


パイラントは、

少し考え――

「……なるほどな」

謎に納得した。


「助けられたはずの主人公を放置する警察官……」

「しかも洋館……」

「……怪しいな」

完全に話が噛み合っていないが、

この世界では問題ない。


パイラントは、

再び空間に手を伸ばす。


「行くぞ」

「おう」

――ドアが生成される。


その先に見えるのは、

見覚えのある内装。


「……洋館だ」

「ムリス狩りだな」

こうして、

主人公と元敵は

 何の確証もなく共闘した。


――時刻は、少し前。


洋館の地下。


ムリスは、

階段を降りた先で、

言葉を失っていた。


「……なんだ……これは……」

地下空間の中央に、

巨大な女性物のワンピースが

丁寧に飾られていた。


壁から天井まで、

堂々と。


意味は不明。

用途も不明。


サイズ感だけが異常。


「……」

ムリスの脳内で、

子供の頃の記憶が

フラッシュバックする。


雨の日。

布団。

漫画。


――ワンピ〇ス一巻。

「……ああ……」

ムリスの目が潤む。


「……これが……」

誰もいない地下で、

彼は呟いた。


「見つけたぞ……ワンピース……」

一人、

静かに感涙。


完全に、

何も見つけていない。


その瞬間。


――ギィ……

背後で、

ドアが開く音がした。


ムリスは、

まだ振り向かない。


「……冒険って……こういう事だったんだな……」

その背後に。


蒸気を纏ったおにぎりマンと、

空間歪ませ系モンスターが

静かに立っていた。


「……ムリス」

「……お前が黒幕だ」

ムリスは、

ゆっくり振り返り――


「……え?」

ワンピースと、

二人の異形と、

自分の立ち位置を見比べた。


「……いや、ちょっと待って」

「話を聞いてほしい」


だが、

その言葉はもう遅い。

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