第3話 再会
そして、数十年後。世界を覆う不吉な予兆と共に、第三の魔王が現れた。王国は再び危機に瀕し、老いた女王サーシャの命を受けた教皇は、国の秘宝を使い、最後の手段として「勇者の再召喚」の儀式を執り行った。
眩い光の中、私は再びローデシア王国の召喚の間へと立っていた。見知った間、見慣れた庭園、王座の間。
でも、居並ぶ王族や貴族に知った顔は・・・・、いない。
礼儀に則り挨拶を済ませると、壮年の宰相に呼ばれた。どこかであったような顔立ち。
「タケル様、お久しぶりです」
ああ、あのときの宰相の孫か、あるいはその息子だろうか。時が流れたことを肌で感じた。
「こちらへ、女王陛下が勇者様、タケル様にお目にかかりたいと」
玉座の間へ通されると、そこにいたのは白銀の髪を湛えた老年の女性。私の目に、彼女はかつて愛した王女サーシャの面影を確かに宿していた。
「ああ、タケル様、お久しゅうございます」
私の二度目の召喚。その目的は、再び魔王を討ち取ること。私は老いた女王の期待に応え、新たな魔王との戦いに身を投じた。数十年分の世界の知識と、一度目の経験を力に変え、私は前回よりも遥かに早く魔王軍を打ち破り、魔王を一騎打ちの末に討ち取った。
討伐が終わって、私は玉座の間へと戻った。
「ありがとうございました、タケル様。本当にありがとうございます。・・・宰相、人払いを」
宰相が退出した後、老いた女王サーシャは、杖を握りしめながら玉座から降りた。彼女の瞳は潤んでいた。
老いた女王から、今までの話を聞くタケル。それは、私が帰還した後、彼女が王国の光として生きてきた道のり、そして、彼女の胸の内に秘められていた、私の存在だった。
彼女は、静かに、そして力強く告白した。
「私の初めて好きになった最愛の人、二度目の時にもっと素直になれればよかったのかと今更ながら悔やんでおります」
数十年という時を超えて聞く、愛の告白。私はその言葉に、全身の力が抜けるのを感じた。
「私の勇者様、本当にありがとうございます。勝手なことを申しますが、幼い私によろしく」
彼女は、私の手の甲に、皺の寄った額をそっと寄せた。
「だって、幼い私とこの国を救えるのは、タケル様しかいないのですから」
彼女の呼吸が弱まっていく。この私にとって二度目の召喚は、命と引き換えにした、女王サーシャの最後の儀式だったのだ。
「私は、タケル様に看取られながら人生を終えることができ、本当に感謝しております」
女王としての重責、そして恋心を秘め続けた人生の全てが、その言葉に凝縮されていた。
「本当にわがままで、ごめんなさい。でも、いつの時もあなたを愛していました・・・・」
私の腕の中で、老いたサーシャ女王は安らかに息を引き取った。
そして、再び光に包まれる私。女王の最後の力により、私の魂は時空を超えた。
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