第4話 グレイさん
ガラガラガラガラ
——また、誰か入ってきた……?!
「失礼シマスネ」
ちゃぽん
俺はまたもや落胆した。温泉に入ってきたのは宇宙人だった。声でわかる。これはババアではない。ババアはこんなに抑揚のない合成音声のような声を出さない。視線を横にやって一応確認するが、やはり大きな頭部に黒い大きな目をしていて全身がグレーの肌だ。間違いなく宇宙人だ。
「オニイサン。驚カナインデスカ?」
「いや、少し驚いてますよ」
「ソウハミエマセンネ」
実際少し緊張した。宇宙人なんて本当に存在したのか、とも思ったが、俺が待っているのはババアだ。今は宇宙人に驚いて、体力を無駄遣いしている場合じゃない。
「私ノ名前ハ“グレイ”ト言イマス」
「俺は捨山ハジメと言います」
「ステヤマハジメサン……」
グレイと名乗った宇宙人はしばらくゆったりと湯に浸かって温泉を楽しんでいた。宇宙人も温泉を楽しむんだな、と思っているとグレイが話し始めた。
「温泉ハ良イデスネ。コンナ良イモノガアルナンテ百年生キテマスガ知リマセンデシタ……」
「へぇ、そうです……」
——え、今なんて言った?!
思わず聞き逃しそうになったが、この宇宙人は百年生きていると言った。と言うことは……。
——もしかしてババアか……?
ザバア
俺は立ち上がってグレイをまじまじと見つめる。よく見るとタオルを胸元まで巻いているのがわかった。胸を隠している……と言うことは女性……。女性で百歳と言うことは……。
——バ、ババアなのか……?
この際ババアであれば地球人だろうと宇宙人だろうと関係ない。ババアはババアなのだ。俺はババアの乳を見るためにここに来た……。俺が求めるババアは、グレイさん貴方だったのか……。
「ト、突然立チ上ガッテドウシタンデスカ?」
俺は疑問を口に出してみる事にした。
「グレイさん、貴方はババアですか?」
「……!! 失礼ナ!! 私マダ百歳デス! オバサンナラマダシモババアナンテ!!」
ガラガラガラガラ
——怒らせてしまった……
どうやら宇宙人は百歳でもまだ若い方らしい。文化の違いは難しい。結局グレイさんもババアではなかった。
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