第2話 バスに揺られて
ぶぅうん、ぷしー
——お、バスが来たな
バス停に着いて数刻すると、すぐにB温泉の最寄りへと向かうバスが到着した。俺は意気揚々と飛び乗った。バスの中にはもうすでにババア達が数人乗車していた。
——もしかして皆、B温泉に行くのか……?!
俺はもう勝ちを確信していた。B温泉に向かうバスにババアが数人乗車している。これはもう勝ちが確定だ。もうバスに乳が乗っているのだから。あとはこのままみんなで温泉に入るだけだ。あぁ、良かった……。これで俺の探究心は満たされるのだ。
ゾロゾロゾロ
その後も停留所に停まるたびに、バスのババア達は増えていった。堪らない。一体俺は今日何個のババアの乳を拝めると言うんだ。俺は複数の乳を拝めるということがどれだけ重要なことなのかも知っている。統計が取れるからだ。たまたま見た1人のババアの乳がしわくちゃじゃないという可能性もある。複数のババアの乳を見て、比較すること。それが一番大事なのだ。負けないことでも逃げ出さないことでも、投げ出さないことでも信じぬくことでもない。複数のババアの乳を見る、それが一番大事だ。
俺がバス内のババアの人数を数えて、それを二倍にすると乳の数になるぞと考えていると、バスの中にアナウンスが流れた。
『A病院前〜、A病院前〜ですっ』
ゾロゾロゾロ
——んなっ、そんなバカな!!!
俺は衝撃の光景を目の当たりにした。なんとバス内の全てのババアがA病院前で降りたのだ。そんなバカな話があるか。老人は温泉が何よりも好きなんじゃないのか?! 温泉よりも病院に行くのか?!
——この、裏切りもの!!!
俺は病院のエントランスへと歩いていくババア達をバスの窓越しに睨みつけた。みんなで一緒に温泉に入れると思ってたのに!! バスの中は俺と運転手の2人だけになってしまった。
「……」
それからというものめっきり誰も乗ってこなくなってしまった。そして遂にはB温泉の最寄りの停留所へと到着しようとしていた。
ピンポーン
『次、停まります〜』
ぶぅうん、ぷしー
バスが停留所へと到着する。俺は座席から立ち上がり、降車口へと向かう。すると、運転手さんが俺に話しかけるのだった。
「お兄さん、混浴に行くの?」
運転手さんがニヤニヤとした顔で聞いてくる。
「まぁ、はい。そうです」
「そうかそうか〜。若いねぇ〜」
俺は勘違いされていると感じながらも、否定はしなかった。俺がイヤらしい目的ではなく、ババアの乳がしわくちゃで垂れているのかどうかを探究する為に来ていると力説したところで伝わらないと思ったからだ。無駄な議論はしない。
「粘るのがおすすめだよ?」
「え?」
「俺が昔行った時、全然誰も来なかったんだけど、何時間もずっと粘ってたら、女の子が入ってきてさ。実は……それが今の嫁なんだよ」
「そ、そうなんですか」
もったいぶって話しているが、“実は”などと言われても正直なんの意外性もない。混浴ならぬ“婚浴”だったとでも言いたいのだろうか。
「混浴ならぬ“婚浴”だったってわけ! あはは!! 結婚の婚って書いてね! はは!」
「……」
運転手さんと発想が被ってしまった。恥ずかしい。俺ももうおじさんになってきているということなのか。
「ま、のぼせないように気をつけてね。そこの自販機で水でも買っていくことをお勧めするよ。」
「あ、ありがとうございます」
「じゃあ、幸運を願ってるよ〜」
ぷしー、ぶぅうん
運転手さんはそう言うと走り去っていった。一応あの人の言うとおり、水は買っていくか。
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