第4話 美術室のマネキン

さますけはここまで出会った七不思議をまためた


1 トイレの花子さん(トイレに美少女花子が出てくる。身体入れ替わりの呪い。1950年に命を経った女子生徒の霊。)

2 夜のピアノ(音楽室でピアノが鳴り、楽譜がめくれる。ピアノ好きの幽霊。)

3 動く標本(理科室のホルマリン瓶の魚の目が動く。不明な幽霊。)

4 夜の足音(階段で正体不明の靴音。過去の生徒の霊。)

5  落ちる本(図書室で勝手に本が落ちる。知識を求める霊)

6 動く人形(美術室の人形が夜に動く。未確認。これから確かめる。)

7 13段目の階段(屋上の階段の13段目に登ると死ぬ。花子になったさますけは怖くて12段目で引き返した。)


数日後、花子さんに聞く。


さますけ『花子、お前やりたいこととかあんのか?』


花子『さますね、この前の赤くなる顔。かわいいじゃない。そうね。海を見にくの。50年ぶりに。』


さますけ『海か。いいな…花子が羨ましいぜ。なぁ…俺お前の身体とセーラー服、慣れねえよ。胸重いし、スカート動きづらいし、恥ずかしい。』


花子『女に生まれ変われて嬉しいんじゃないの?』


さますけ『嬉しくねえ。俺、お前の裸すら確認してねえからな。ブラだって、男の俺からしたら屈辱だ。』


花子『英語の授業でね、生きてるって素晴らしいって教師が言ってたの。』


さますけは胸が締め付けられる。


さますけ『俺は生きてねえ…筋トレしようにも実態ねえし、胸邪魔だし。』


花子『慣れて。』


花子は冷たく微笑んだ。


さますけ『お前、女の子なのに、俺の身体に適応できてんの?生前の生活と全然違うだろ。更衣室とか体育、風呂どうしてんだよ?俺の裸見んなよ?』


花子『全部男の方を使っているわ。少し大変だけど、自然に振舞っているわ。お風呂はちゃんと入っているわよ。裸見ちゃった。悪くなかった。』


さますけ『何が悪くなかっただ。俺はてめえの身体を見てねえってのに。くそ恥ずかしい。』


花子が去った後、七不思議が気になるさますけは美術室の動く人形を確認することにした。夜の美術室に足を踏み入れる。懐中電灯で暗い部屋を照らす。棚に並ぶ石膏像や木製の人形が、月光に不気味に浮かぶ。突然、奥のマネキンの首がカクンと動き、目がさますけを捉える。


さますけ『う、うわっ!何だ!?動いた!?』


マネキンの腕がギギッと上がり、さますけに向かってくる。セーラー服のスカートが邪魔で動きづらい。さますけは悲鳴を上げ、転びそうになる。


さますけ『うわあああ!やめろ!近づくな!この身体、足遅え!胸揺れるし!』


マネキンがガタガタと、床を擦りながら迫る。さますけは棚にぶつかり、絵の具を落とす。必死にドアへ走り出し、廊下へ飛び出す。後ろでマネキンの動きが止まり、静寂が戻る。さますけは息を切らし、壁に寄りかかる。


さますけ『…はぁはぁ…生きてた頃ならぶん殴ってたぜ、こんな人形。この身体、弱すぎる。』


さますけは図書室に行き、腰掛ける。男の動作だけとキツいので、女らしく足を閉じることにした。


さますけ『今の俺の声、声高くて女っぽいし、やだな…これで啖呵切ったら笑いもんだろ。』


花子さんの柔らかく可愛らしい声。花子さんの身体になって人生が変わってしまった男のお話。

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トイレの花子さん~高等学校の七不思議~ 中須ゆうtive @ImaYuuMiniSkirt

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