第4話 趣味
昼休みになる。
人の配置が変わる。
机の上に置かれるものが増え、音がばらける。
私は、彼の向かいに座っている。
食事が並んでいる。
同じ動作が続いている。
「なあ、キミ」
箸を動かしながら、彼が言う。
「趣味とかないの?」
「好きなこととか」
私は、その語を処理する。
趣味。
好き。
分類は曖昧だが、質問の形式は理解できる。
「強いて挙げるなら、学校だろう」
彼は一瞬、止まる。
「……真面目だな」
「でも、服とか好きそうなのに」
視線が一度、私に向く。
「服…」
私は、少し考える。
「制服しか着ていない」
彼は、小さく笑う。
「やっぱり変だな、キミ」
否定ではない。
周囲の音が一段、大きくなる。
人の立つ気配が増える。
チャイムが鳴る。
食事は終わる。
配置が崩れる。
次は体育だ。
場所が変わる。
要求される行動が変わる。
私は、そのまま動く。
体操服に切り替える者がいる。
私は切り替えない。
条件は満たされている。
「ねぇ、一緒にペア組も!」
別の生徒が声をかけてくる。
私は拒否しない。
バドミントンのラケットを持つ。
打ち返す。
往復が成立する。
特別な処理は必要ない。
普通に進行する。
「じゃ、着替えるから!」
「またね!」
女子はそう言って離れる。
私は、その場に残る。
「……キミさ」
彼が、少し眉をひそめる。
「やっぱ、はぶかれてるんじゃないか?」
「ペア組んでたのに、別々になるなんて」
心配という語が、含まれている。
私は、それを否定しない。
「私は、教室に戻る」
それだけ返す。
私は移動する。
元の配置に戻る。
体育の区画を離れ、
教室に入る。
条件は、再び安定する。
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