4話 極秘作戦と少女
初陣の後、私は軍の歯車としてよく働いた。
私が生まれてから緩やかに戦争をしていた帝国。
だが、私が軍に入り3年が経ち、23歳になったころ事態は急変した。
「共和国は帝国を囲むように3国と同盟を結んだ」
父の書斎で状況を聞く。厳しい顔をしている父。
「共和国は、帝国を絶滅させるためのフェーズに突入したようだ。3国と同盟を結んでも、軍事力は帝国が勝っている」
父は存外リアリストだ。客観的に見ても三国を相手に耐えられるだけの力が帝国にはある。私もそれには賛同する。
「でも、技術の革新が、帝国の首を掻き切るビジョンが現実になってきている」
「そうだ。だが、真の問題はそこではない。ビクター・フォックス。あいつがいたから帝国は泥沼の戦争に引きずり込まれた。今回のも奴の描いた絵だろう。今では共和国の最高指導者だからな」
眉間にしわを寄せ、厳しい顔をする父。ビクターは父の宿敵だ。
「俺に唯一の失敗だ。あの時倒していれば」
「タラレバを言っても仕方がないですよ。中将がいなければそもそも帝国は負けていたかもしれないのですから」
今は上司として父と接しているが、未だにこの距離感が慣れない。
「これから部隊は最も激しい激戦地、東部戦線に向かう。期限はない」
父の言葉に重く頷く。東部戦線はお互いの兵器や人員を湯水のように使う戦地。
「お前も分かっていると思うが、東部戦線を取った方が戦争の勝者だ。逆にとられたら、帝国は負ける」
「分かっています。ですが、私たちの部隊を東部戦線に派遣するということは、西側の連邦に攻め込まれるリスクがある」
頭の中に地図を浮かべながら話す。
帝国は大陸でも中心にある列強国だ。
東では共和国と西では連邦と敵対している。
その他の国も寝首を掻こうとしている。戦争が終わらない理由は単純に、帝国は敵が多すぎるのだ。
「竜が欲しい連邦は霊山山脈を狙っている。だから、この戦争はこんなに膠着しているのでしょう?」
「そうだ。だが、これは極秘の情報なのだが、連邦は近々革命が起きる」
にやっと笑う父の言葉に電撃が流れる。
つまりそれは、
「その影響であいつらは我々が軍を引いても攻めてこれない。そんなことをしたら反乱分子に国を取られてしまうから」
「その間隙を狙って、全勢力で共和国を叩くと?」
「そうだ」と父が頷く。
「共和国が同盟を結んだのもこの事態を想像しての事なのだろう。だが、我らはそれ
よりも早く相手の首をとる」
父の言葉に体がフワフワしてくる。現実感のなかった戦争勝利が急に目の前に来たのだ。
「作戦は既に参謀本部と決定している。ティフォンには重大な役割を任せたい」
私をじっと見つめる父。作戦の全容を聞く。中々のリスクのある作戦だ。だが、成功すれば帝国は勝利するだろう。
「これは、成功したら私が中将になれそうですね」
私の負う役割の大きさに引き攣った笑いが出てしまう。
「俺の娘だ。これくらいやってもらわないとな、ティフォン少佐」
無茶振りは父の十八番だが、これはそんな次元を超えている気がする。
だが、父からの期待に応えるため、帝国の勝利のために、私は準備をする。
必要なことを為すために。
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