オーバーキル
「さ、準備が整ったからいつものお願いね」
「い、いつものですか?」
「そうよ。
そのためにリリィを連れてきたんだから」
えっと……いつものって何でしょうか。
そう思ったのですが、身体が何となく知っている感覚がして、その流れに身を任せてみる事にしました。
配信魔法から感じる、異世界との繋がり。
それを力にできるような気がして、意識を集中させてみると……目の前に現れたのは雪で出来た二足歩行のウサギさん。
白を基調として、ところどころに水色の模様が入ったモコモコな毛糸の帽子に、赤いマフラーを首に巻いたその姿は僕にも見覚えがありました。
「これって氷精さん?」
その姿は、僕のリスナー達である氷精さんの姿を書き起こしたものに瓜二つだったのです。
「リリィってば相変わらず精霊のことをさん付けで呼んでるのね。
まぁ、後は任せるわ。
外に出ているはぐれがいるかもしれないから、私は周囲を警戒しておくわね」
「え、あ、はい」
そう言ってエミリアは周囲の偵察に向かっていきます。
残された私はこれから何をすれば良いのかは分かりませんでしたが、話から察するに巣に入らずに氷精を使って駆除しろということでしょう。
ならば、きっとこういうことなのでしょう。
「氷精さん、あの巣の中を凍らせることって出来ますか?」
私がそう言うと、氷精さんはうんうんと頷いて巣の前に立ち、一瞬にして入り口を厚い氷で覆ってしまいました。
その壁には小さな隙間が空いており、氷精さんはその隙間から白く輝く空気を巣の中に送り込んでいきました。
異変に気がついたのか、巣の奥からオーク達が出てくるのですが、彼らは入り口に覆ってある分厚い氷に驚き、慄きます。
それでも生きるために入り口の氷を叩くのですが、氷にはヒビ一つ入りません。
そうこうするうちに段々とオークの動きが鈍っていき……彼ら自身が分厚い氷像になるまで大きな時間はかかりませんでした。
「よし、これでバッチリですね」
とりあえず余裕を持って洞窟の中を氷洞と言えるほどに凍らせておいたので大丈夫でしょう。
そう思った時、周りの確認に行っていたエミリアが戻ってきました。
「こっちは特にはぐれとかは居なかったわね。
リリィの方は……って、何これ!?」
エミリアはすっかり凍ってしまった洞窟を見て驚いています。
「エミリアに言われた通りに中を氷漬けにしておきました。
流石にオークも全滅して……」
「いやいやいや、だからって洞窟全体を凍らせるってどういう力よ!?」
「あれ、違いましたか?
多分全滅してるとは思うんですけど」
「いや、全滅してるのは間違いないし、任務は達成しているから間違い無いんだけど。
これ、その氷精がやったのよね……って、はぁ!?」
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