配信魔法と薄い本

「さ、もうそろそろ目も覚めたでしょうから行くわよ」


「え、行くって何処に?」


「何処にって……まだ寝ぼけてるの?

村の近くに出来たオークの巣を潰しに行くって言ってたでしょ」


「ええ!?」


オークって……こんなエルフな美少女が2人が向かったら絶対にエロ同人みたいにされちゃうじゃないですか!?


そこのコメント欄も変な方向で盛り上がらない!!


って……あれ?


パソコンの画面じゃないのに、見ている目線の端の方にコメントが見えるのは何なんでしょう?


「リリィ、またコメントとか言うのを見てるの?」


私が虚空を見ているのに気がついたエミリアがそう言ってきます。


「え、コメントって……エミリアは知ってるんですか?」


「知ってるも何も、貴女が普段から聞かせてくれてるじゃない。

配信魔法ってのを開発して、違う世界の人達とコミュニケーションが取れるようになったって。

まぁ、私には見えないから何とも言えないけど」


「配信魔法……」


そう言えば、リリィは配信魔法を使えるようになったことで配信業を行うようになったという設定でしたね。


という事はパソコンを使わなくても配信が出来てしまうし、こうして何処でもコメントが拾えてしまうという事でしょうか?


こら、そこで俺たちも見に行けるのか!とか湧くんじゃありません!!


と、私が念を込めて想うと、その言葉が私からのコメントとして流れていきました。


これにはコメント欄も驚いていましたが、オークを見に行こうという流れは止まりませんね。


「ほら、いつまでも配信魔法で遊んでないでサッサと退治しに行くわよ。

心配しなくても、里で最も優秀なエミリアさんが守ってあげるから安心しなさい!」


そう言って笑顔を見せるエミリアの姿を見て心の底から思ったのです……ダメそうだなぁって。


だって、こんなの薄い本になる前のテンプレートな展開じゃないですか!


自信満々で魔物退治に行った自称天才が返り討ちにあって酷い目に遭う話なんて幾らでもありますからね。


私に何が出来るか分かりませんが、設定ではリリィは配信魔法を開発するほどの魔法に長けた天才のはず。


1人で行かせるのも心配ですし、コメント欄も行け行けとうるさいですから、とりあえず一緒に行ってみることにしましょう。


「分かりました。

一緒に行きましょう」


「リリィまで出番を回さないから安心しなさいって。

それよりも、出かけるのならちゃんと着替えなさいよ!」


エミリアに言われて自分の姿を確認すると、普段の雑談配信で使っている、部屋着差分な衣装を着ている事に今やっと気が付いたのでした。

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