氷精達
氷花リリィのリスナー達……氷精(ひょうせい)は、引退配信が終わってそれぞれに喪失感を抱えていた。
もう二度と会うことが出来ない推しに対して直ぐに行動を移すことが出来ず、暫く彼女のプラットホームに画面を固定していたのだが……
「え、何で……?」
突然、配信の予告画面が流れてきた。
慌ててSNSを確認してみると、大変なことが起こったから助けて欲しいという旨の事が記載されていた。
ざわめきながらも、また推しに会える……そう喜んでいた彼らの前に推しが再び現れた。
だが、その後に彼女が説明した今置かれている状況には誰もが絶句する事になる。
曰く、自分が本当に氷花リリィになってしまい、彼女がいる設定の世界に飛ばされてしまったというのだ。
世界観をぶち壊すような話に対して、引退宣言したから何をやっても良いのかと憤るものもいた。
だが、そんな彼らに信じて欲しいといい、配信画面が切り替わったかと思うと、彼女の配信部屋と思われるものが映し出されたのである。
カメラが動いて視点が切り替わり、そのまま窓へと向けると。
誰もが言葉を失った。
窓の外には森が広がり、そこでは金髪で耳の尖った美男美女達が生活していたからだ。
「ね、この通りに本当なんだよ。
因みに今の僕もこんな感じで……」
意を決したようにリリィが自分にカメラを向ける。
そこにはいつも画面に現れる彼女ではない……リアルな氷花リリィが立っていたのだった。
もちろん、ここまでやっても信じないものはいる。
だが、少なくとも氷精の半分は信じても良い。
信じた方が面白そうだという思考に切り替わったのは間違いないだろう。
「という事で、本当に困っているから皆んなのアイデアを聞きたいんですよ」
画面越しにそう語るリリィに対して、氷精達は何とかしてあげたいと思うものの、異世界に行ってしまった推しに対して何が出来るかのアイデアなど簡単に思い付くはずもない。
簡単には思いつかないはずなのだが、そこは集まった数の暴力というものであろう。
氷精の1人からこんなアイデアが出たのだ。
氷花リリィのママ……つまりは生み出したイラストレーターに設定や世界観を深く聞いてみたらどうかと。
生み出した人物が組み込んだ設定通りになっているのであれば、この世界がどうなっているのか?
また、氷花リリィがどんな事ができるのか?
そう言った参考になるのではないかと。
「それはナイスアイデアです!」
そう叫んだリリィは早速自分を生み出したママ、田中ママに電話をかけるのであった。
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