氷花リリィの異世界配信生活〜引退した途端にアバターの世界に飛ばされてしまったので引退を撤回します〜
古葉 なな
伝説の始まり
「という事で、氷花リリィ最後の配信に遊びに来てくれてありがとうございます。
この楽しかった思い出を胸に新しい人生を歩んでいきますね!」
最後の挨拶を終えた僕、氷花リリィの中の人は安堵のため息をつきました。
氷花リリィとは、いわゆるバーチャルなライブ配信者であり、会社に所属していない個人勢です。
群雄割拠なバーチャルライバーの中を個人で渡り歩くにはとても厳しく、10万人の登録者を抱えながらもこの先で成長できるビジョンが見えずに引退を決意してからの、先程の配信でした。
「これから何をしましょうか?」
実は次にやることはまだ決めかねています。
幸いにも、この活動で蓄えた資金はあるので暫くはのんびりしても良いのですか。
……そう言えばライバーになってからは引きこもり生活で外に出ることも少なくなっていましたね。
特に引退配信の準備は忙しく、気がつけば一ヶ月は外に出ていないかもしれません。
偶には外の空気を吸うべきでしょう。
そう思ってカーテンを広げて窓の外の景色を見たのですが……
「え?」
外の景色は、高い木々に囲まれた森でした。
もちろん、こんな森の中に住んでいるという訳ではありません。
ちゃんとした都会のマンションに住んでおり、窓の外はコンクリートジャングルの筈です。
しかし、何度見ても窓の外は森の中。
そして、周りを見たわしてみれば人がいるのですが、全員が金髪でスレンダーなモデル体型をしている美男美女ばかり。
それだけではなく、その最大の特徴は長く尖った耳。
そう、ファンタジー世界の代名詞とも言えるエルフ達だったのです。
「こ、これってどういうこと?」
あまりの衝撃に一歩下がったその時、窓に反射して映り込んだ自分の姿が見えてしまったのです。
それは自分がよく知っている……先程まで演じていた氷花リリィその人だったのでした。
僕はカーテンを閉めると慌ててデスクに戻り、再び配信サイトを立ち上げました。
SNSが繋がっていることを確認すると、即座に配信告知を行い、引退配信の直後に直ぐにライブ配信を始めたのでした。
「いま、緊急で動画を回しています。
みんな、どうしよう!?」
引退直後のライブ配信。
タイトルは[急募]バーチャルの世界から抜け出す方法。
これが、僕の……氷花リリィの終わりにして伝説の始まりとなったのでした。
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