第22話 まだまだ足りないわ
私は光の中に突っ込んだ。
そこには、今にも光に溶けそうな「元将軍」がいた。
「将軍! 逃げるんですか!? あなた、戦場では最後まで戦うって言ったじゃない!」
「……もう、疲れたのだ。忘れてしまえば、この足の痛みも、家族に忘れられた悲しみも、なくなるのだから……」
将軍の目から、一筋の涙がこぼれる。
私は彼のゴツゴツした手を、両手で力いっぱい握りしめた。
「忘れたっていいよ! 私が覚えてる! あなたが昨日、味噌汁のナメコを『戦の糧食』だと言って完食したこと、私が一生語り継いでやるから! だから、まだここにいてよ!」
私の叫びに、将軍が目を見開いた。
光が、一瞬だけ揺らぐ。
「……お前、……うるさい女子(おなご)だな」
将軍がフッと笑った瞬間、光は霧散し、広間にはいつもの加齢臭と湿布の匂いが戻ってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます